行政相談委員16年 退任の岩尾さんに総務相感謝状

行政相談委員として16年にわたり和歌山市を担当し、3月末で退任した岩尾雅子さん(81)に総務大臣感謝状が贈られた。14日、市役所市長室で贈呈式が行われ、尾花正啓市長から感謝状を受け取った岩尾さんは「最初は何も知らないところから始め、いろいろ学ばせていただいた。16年間、元気に務めることができて良かった」と笑顔で話した。
行政相談は、行政全般に対する苦情や意見・要望を受け付け、担当の機関とは異なる立場から必要なあっせんを行い、解決や実現の促進を図る制度。行政相談委員は民間の有識者から総務大臣が委嘱し、全国で約5000人、県内は57人が活動している。
岩尾さんは2009年4月からことし3月まで行政相談委員として活動。あいあいセンターに開設した行政相談所や、地元自治会、団体などを対象にした行政相談懇談会などで、住民の多様な困り事を聞き、関係機関に改善の申し入れなどをしてきた。
また、県内で初めて、小学生に対する行政相談の出前教室を行い、地元の中之島小6年生などに、行政の仕事について興味を持ってもらう活動に力を入れてきた。こうした長年の活動に対し、20年10月には総務大臣表彰が贈られている。
岩尾さんが対応した事例では、紀の川河川敷の「せせらぎ公園」を利用する小学生から、携帯電話を持てないので時間が分からず、時計を設置してほしいとの相談を受け、岩尾さんが市役所など関係機関に働きかけたことにより、以前から設置されていた放流警報設備の電光表示に時間が表示されるよう改善された。
岩尾さんは、大人とは違う子どもの目線からの意見を「とても勉強になった」と振り返る。せせらぎ公園の事例の他、子どもにはこぎにくいブランコの高さに対する意見、道路の拡幅で長くなった横断歩道を、信号の時間内に渡るのが難しいとの指摘など、大人の目線では分からない声を多く聞けたことは、大切な経験になっている。
贈呈式には、同市担当の現役の行政相談委員5人、総務省和歌山行政監視行政相談センターの山根健所長らが同席。尾花市長が総務大臣感謝状を、仲間の行政相談委員が全国行政相談委員連合会会長特別表彰状と記念品をそれぞれ岩尾さんに手渡した。
岩尾さんは「出前教室をして子どもたちの声をたくさん聴いたことが一番の思い出になっている。自分が言ったことが行政にちゃんと伝えられていると子どもたちに感じてもらえたらうれしい」と話していた。