八重さんとネパールの小学校 岡田さんが写真展

ネパールの子どもたちの様子を伝える写真の前で、岡田さん㊧と前田さん
ネパールの子どもたちの様子を伝える写真の前で、岡田さん㊧と前田さん

和歌山県国際交流センター(和歌山市手平、和歌山ビッグ愛8階)で13日まで、田辺市下三栖の写真家・岡田治さん(65)の写真展「八重さんとネパールの小学校」が開かれている。私費でネパールに小学校をつくり、支援を続ける同市中辺路町の前田八重さん(75)の活動を、モノクロ写真30枚で一つの作品として紹介。日本リアリズム写真集団(JRP)主催の「第3回伊藤知巳写真賞」で奨励賞を受賞。関西で初めての公開となる。

前田さんは1993年、インドで仏教を学ぶ旅の途中、インドやネパールの粗雑な教育環境の現状を知った。「ネパールで100の学校を作るプロジェクト」があることを知り、参加するため貯蓄を始めた。2002年にネパールを訪問した際、インドよりもさらに貧しい生活を目撃。そんな中、山道でつぶらな瞳の少女と出会った。黙って赤いシャクナゲを差し出してきたという。前田さんは「静けさと少女の温かい目、遠くの美しい山の景色に癒やされた」と話し、何度も通いながら09年、チトワン郡バテリ村に、無料で通えるジャラデビ小学校をつくった。

撮影した岡田さんは、写真歴20年以上。18年2月から2年間で3度、前田さんに同行して撮影した。今展では、八重さんが同校で開いた、村で初めての運動会の様子や、穏やかな子どもたちの表情を伝えている。

岡田さんは「『ナマステ』の一言で現地の人々とすぐに心を通わす八重さんの活動は魅力がある。子どもたちがどう変わっていくのか未来への期待と、八重さんの活動の相乗効果を感じてもらえたら」と話した。

同校は24年1月、子どもや女性の識字教育を目的に「Akatuki Juku」として再始動した。前田さんは現在、同町で宿泊所を経営しながら、年に2度ほどネパールを訪れ、文房具の寄贈や女性たちが作る布製品の製造販売などの支援を続けている。前田さんは「ネパールの人は思いやりがあって、とても家族を大切にする。日本がなくしたものがネパールにはある。昔の日本の原風景を見ているようで、ほっとします」と話している。

午前10時~午後6時半(水曜定休)。問い合わせは同センター(℡073・435・5240)。