県の生産量全国2位「清見」
前号では「不知火(しらぬい)」「デコポン」の家系をたどり、掛け合わせの親とされる「ポンカン」を取り上げた。今週は、同じく親とされる「清美(きよみ)」=写真=を紹介したい。
清見は、温州みかんに形が似ているが、重さ約200㌘、直径約8㌢と、温州みかんと比べると一回り以上大きいサイズ。外皮はオレンジのように硬いが、果肉は柔らかく甘味と香りに優れ、みずみずしい果汁が特徴。
春柑橘(かんきつ)の多くが早い時期に収穫され、貯蔵した後に出荷となるが、清見の場合は果実一つずつに袋掛けを行い、3月ごろまで木に実をつけたまま越冬させ、十分色づいた頃に収穫される。そのため、実が完熟し甘味が増すという。
清見は、甘さが特徴の温州みかんと、アメリカのオレンジを交配した国内初のタンゴール品種。タンゴールとは、ミカンを指す「Tangerine(タンジェリン)」と「Orange(オレンジ)」の掛け合わせを意味する言葉。
静岡県清水区の「清見潟(きよみがた)」、当コーナー(家康紀行)で取り上げたことがある「清見寺(せいけんじ)」の近くで開発されたことから、清見(きよみ)の名が付けられた。オレンジとの掛け合わせであることから「清見オレンジ」の名で呼ばれることもある。
農水省統計(2017年)によると、主な生産地は、愛媛県(44%)、和歌山県(38%)、佐賀県(5%)など。和歌山県は愛媛県に次ぐ第2位であることから、目にする機会も多い。
春柑橘の新品種の多くは清見から誕生しており「せとか」「はるみ」「たまみ」など。清見が親となる数々の春柑橘を紹介していきたい。(次田尚弘/和歌山市)