柑橘の大トロ「せとか」
前号では、温州みかんとオレンジを交配した国内初のタンゴール品種である「清見」を取り上げた。今週は清見から派生したタンゴール品種「せとか」=写真=を紹介したい。
せとかは、清見にアンコールという柑橘(かんきつ)を掛け合わせ、さらにマーコットという柑橘を掛け合わせたもの。
艶やかな丸みが特徴。重さ約200㌘、直径7~10㌢で、清見とほぼ同じサイズ。外皮が極めて薄く、瑞々しく溢れ出しそうな果汁と濃厚な味わいから、柑橘の大トロと呼ばれることも。外皮に傷が付きやすいため、フルーツキャップと呼ばれる緩衝材に包まれて販売されることが多いが、流通のしづらさから生産量が多くない希少品種としても知られている。
長崎県南島原市(旧・口之津町)で生まれ、長崎県島原半島と熊本県天草諸島の間の海峡「早崎瀬戸(はやさきせと)」にちなみ、また、瀬戸内海地域での栽培を期待され「せとか」と名付けられたという。
農水省統計(2017年)によると、主な生産地は、愛媛県(65%)、三重県(7%)、佐賀県(5%)、広島県(5%)、和歌山県(5%)と、期待通りの地域で栽培。流通が難しい希少品種が故に、生産地の一つである和歌山県は、他の県と比べせとかを食べられるチャンスがある。
おすすめの選び方は表面に張りがあり、ずっしりとした重さのあるもの。柑橘の大トロと評されるせとかを、ぜひご賞味あれ。
(次田尚弘/和歌山市)