清見との交配種「たまみ」

前号では大粒の果肉が特徴で、デコポンと同じ、清見とポンカンの交配種である「はるみ」を取り上げた。今週は清見と米国生まれのオレンジ「ウィルキング」の交配種「たまみ」=写真=を紹介したい。
たまみは、清見やはるみと同様に静岡市の生まれ。果樹試験場で1980年にできた系統で、全国の試験地で試験栽培された後、2004年に新品種として認められ06年に品種登録。サイズは約150㌘で、温州みかんとほぼ同じサイズ。見た目も温州みかんに似ており、手で容易に剥くことができる。種がやや多めだが、じょうのうが薄くそのまま食べられる。果汁量が多く糖度は12%程度で、オレンジのような香りが特徴。
清見と交配されたウィルキングは、地中海マンダリンとして知られるウィローリーフという品種と、キングというオレンジを交配したもの。米国生まれで1915年から作られる歴史のある品種である。清見は温州みかんとオレンジの交配種。たまみの4分の3は海外のオレンジに由来し、香りの強さはそれに起因するといえよう。
たまみは、ウィルキングに見られる「隔年結果性」という、いわゆる表作・裏作が現れる品種で、味や収穫量に変化があり、前号で取り上げたはるみと同様、ことしは甘さが足りない印象を受けた。
農水省統計(17年)によると、収穫量は80㌧程度。清見の1万2千㌧と比べると、まだまだ一般的ではない。主な生産地は愛媛県(35%)、長崎県(24%)、愛知県(22%)、静岡県(19%)で和歌山県での生産はごくわずかということになる。
筆者は紀の川市で栽培されたたまみを産直市場で購入した。大々的ではないものの、新品種として県内でも栽培が始まっており、これからの生産拡大に期待したい。(次田尚弘/和歌山市)