小野田さんの思い後世に 竈山神社に記念碑
和歌山県海南市出身の元陸軍少尉、小野田寛郎さんが15年前に和歌山市和田の竈山神社に植樹したウバメガシの木のそばに、「植樹之碑」が建立された。16日に同所で行われた除幕式には、主催者の「『陸奥宗光外務大臣』の功績を教育に活かす実行委員会」(立谷誠一代表)のメンバーら約20人が参加。拝殿での祭祀の後、同神社の吉良義章宮司、同会の立谷代表の他、記念碑を寄贈した丸喜石材(和歌山市)の西坂大東さんらで碑の除幕を行った。
小野田さんは亀川村(現・海南市)生まれ。第二次世界対戦フィリピンのルバング島に出征し、終戦後も約30年間、潜伏生活を送り1974年に日本へ帰還した。帰国後は戦前と変わった日本社会になじめずブラジルに移住。その後、日本社会における青少年の凶悪犯罪に心を痛め、子どもたちのため、キャンプを通してたくましい青少年の育成を目指す「自然塾」を開くなど尽力した。
2006年5月15日、小野田さんは和歌山市内で「生きる~極限で私を支えたもの~」をテーマに講演。翌16日に県木のウバメカシを同神社境内に植樹した。
同会によると、歴史をたどれば、小野田さんの先祖、名草戸畔(なぐさとべ)と同神社の御祭神、彦五瀬命(ひこいつせのみこと)は争った経緯があるという。除幕式に参加した同会の臼井康浩さんは「今は仲良く一つになった。この日を迎えることができ、とても晴れやかな気持ちです」と話した。