経石15万個を多宝塔に 「もどす会」が発足

372年前、紀伊徳川家初代頼宣の母、お万の方(養珠院)の発願で、和歌山市和歌浦中の妹背山に埋納され、一度は海禅院多宝塔の下から掘り出された15万個の経石を元の場所に戻そうと、地元住民らによる「経石を多宝塔にもどす会」が発足。13日に第1回の活動を行う。今後、少しずつ埋納する予定で、一緒に作業するボランティアも募っている。

経石とは、経文を記した石のこと。お万の方が、夫家康の三十三回忌を契機に、追善供養と世の平和を願い発願した。法華経の題目「南無妙法蓮華経」を小石に書き写し、その数が合計250万返に達したことをもって完結。書写された経石は15万を超えた。上皇から庶民まで階級に関係なく多くの人が参加したという。

今回戻す経石は、頼宣が母の菩提を弔うため建てた多宝塔(同市指定文化財)の下から、2004年から翌年にかけて調査のために掘り出されたもの。同会によると、その後長年妹背山にある倉庫などで保管されてきたという。

今回、倉庫の撤去が決まったことをきっかけに、玉津島保存会や名勝和歌の浦クリーンアップ隊など和歌浦で活動する団体らが会を結成し、ボランティアと共に経石を戻そうと立ち上がった。

大小さまざまな約15万個の経石は、写真などで記録を取った上で、大切に戻していくという。

和歌浦を中心に地区のために活動するわか応援隊のメンバーで、同会の発起人の1人、日方広行さん(70)は、「経石に込められた願いと同じように、皆さんと仲良く作業できたら。和歌浦のために思いを込めて返還したい」と話している。

活動は午前9時から正午ごろまで。経石の見学も歓迎。雨天中止。問い合わせは渋谷さん(℡090・7349・9161)。

頼宣が母の供養のため建てた多宝塔

頼宣が母の供養のため建てた多宝塔

 

保管されている経石。墨で「南無妙法蓮華経」と書かれている

保管されている経石。墨で「南無妙法蓮華経」と書かれている