梅田恵以子さん偲び フォルテでパネル展
ことし1月14日に89歳で亡くなった和歌山市の随筆家、梅田恵以子さんの足跡を紹介する「きき歩記 パネル展」が、和歌山市本町のフォルテワジマで開かれている。8月3日まで。
梅田さんは大阪市生まれ。戦災を機に両親の故郷である和歌山に移り住んだ。星林高校の1期生で、帝塚山学院短大文芸科卒業と同時に歌集『二十一歳』を出版。県内の50市町村を取材して作詞し、作曲家の森川隆之さんと作った「ふるさと讃歌~紀州路100曲~」で1990年に「サントリー地域文化賞」に輝いた。2002年度には県文化奨励賞を受けている。
会場には梅田さんの著書約20冊の他、写真や関わった刊行物、味わいのある書や絵画など約100点を展示。一角には文机を置き、書斎風に紹介したコーナーもある。
和歌山を愛し、その自然や歴史、食文化に造詣が深かった梅田さん。梅田さんの次男の妻で和島興産の社長、梅田千景さん(61)は「豪快な性格で、島の母(故・島和代さん)ともよく気が合いました。特に食には貪欲で、『和歌山には発祥の食材が多く、おいしいものがいっぱい』と、さまざまな味を探し求めて駆け回っていましたね」と振り返る。
展示されている写真パネルは、テレビの紀行番組を共にした江利チエミさんとの一枚や県内各地を訪問した際の様子など。旺盛な好奇心や多彩な仕事ぶりが伝わり、親交があった印南町出身の芥川賞作家、辻原登さんは「彼女は、いつまでも、紀州・和歌山において、最もファンタスティックな女性であり、全ての知恵の柱である」と追悼の言葉を寄せている。
千景さんは「お義母さんが大好きだった和歌山の味を、これからも皆さんに愛していただければうれしいです」と話している。
午前10時から午後6時まで。問い合わせはフォルテ管理事務所(℡073・488・1900)。
郷土自慢の名物 期間限定で販売
期間中の31日、8月1、3日にはフォルテワジマ1階食品館で、梅田さんが文筆や商品の命名などに関わった儀平(串本町)のうすかわ饅頭、赤玉(有田川町)のわさび寿司や山菜佃煮(各日限定20個)を販売する。