改善するも低水準続く 社経研の景況調査
和歌山社会経済研究所の景気動向調査で、2021年4~6月期の県内企業の自社景況判断は、「良い」と答えた企業から「悪い」と答えた企業の割合を引いたBSI値がマイナス21・4(前期比4・2㌽上昇)、7~9月期の見通しがマイナス19・8(同1・6㌽上昇)といずれも改善しているが、コロナ禍前に比べると依然として低い水準となっている。
調査は県内企業2000社(建設業200、製造業400、商業600、サービス業800)にアンケートで実施し、721社から回答を得た(回答率36・1%)。
4~6月期の景況BSIを産業別にみると、建設業4・5(前期比9・4㌽下降)、製造業マイナス21・3(同14・4㌽上昇)、商業マイナス29・1(同2・3㌽下降)、サービス業マイナス24・4(同5・9㌽上昇)。
7~9月期の見通しは、建設業がマイナス3・5、商業がマイナス30・5で悪化し、製造業がマイナス20・1、サービス業がマイナス15・9で改善を見込んでいる。
建設業は3期ぶりに下降したが、プラス水準を維持。鋼材・木材の仕入れ価格が上昇するなど原材料価格の高騰が懸念され、7~9月期の見通しはマイナスに転じている。
製造業は依然として低い水準だが改善傾向にあり、幅広い業種で景況感を「悪い」とする事業者が減少した。分野別では、食料品のBSI値がマイナス50と極めて厳しく、資金繰りが悪化している事業者も約4割に達している。
商業は、4月以降に新型コロナの感染者数が県内でも大きく増加したことを受け、衣料品や飲食料品を取り扱う事業者の業況が大幅に悪化。小売業を中心に総じて業況は厳しい。
サービス業は、飲食業で全事業者が景況感を「悪い」と答えた一方、運輸業や医療・福祉、事業所向けサービス業では業況が改善した。全体の水準は依然として低く、先行きの不透明感も強い。
地域別の景況BSIは、和歌山市がマイナス15・8(前期比9・0㌽上昇)に大きく上昇し、紀北はほぼ横ばいのマイナス16・0(同0・7㌽上昇)、紀中は大幅に下降のマイナス34・9(同10・1㌽下降)、紀南はマイナス28・8(同8・6㌽上昇)だった。
経営上の問題点は、「売上不振」が42・8%でトップ。次いで「人材不足」17・7%、「原材料価格の高騰」11・5%、「競争の激化」7・3%と続いている。
今回の調査では、直近決算期の業績についても調査。売上高が減少した事業者は56・5%、営業利益が減少した事業者は50・9%で、いずれも減少が2年連続で過半数を占めた。
コロナ禍の雇用維持については、雇用調整助成金を利用した事業者が25・7%、現在も利用している事業者が14・9%との答えだった。