砂浜に波が描いた美 松原時夫さん写真展
ふるさとの和歌山市和歌浦を70年にわたって撮り続ける写真家の松原時夫さん(81)の写真展が31日まで、同市十一番丁のギャラリーTENで開かれている。
写真集『砂のキャンバス』『沖ノ島』の出版を記念した展覧会で、16点を展示。松原さんは5年ほど前からほぼ毎日片男波へ出掛け、砂浜をキャンバスに見立て、残された波や風の跡をモノクロフィルムに収めている。
注目するのは濃淡のグラデーションや、線の面白さ。砂の色にもトーンがあって変化に富み、不思議な造形に出合えるという。
「砂浜が面白いのは、毎日表情が入れ替わること。一日として同じものはないんです」。
自然が描くデッサンは人体の一部のように見えたり、動物のようだったり。偶然の出合いを楽しみながら「砂の濃淡がうまくできていて、感心することも。思わず『きょうの、いいわ』と砂浜を褒めることもあるんですよ」と笑顔。
その他、会場には片男波から有田市の沖ノ島を撮影したカラー作品も並ぶ。曇天の風景や、金色に輝く島の姿など、季節や時間によって見え方の異なる景色を捉え「一人で見るにはもったいないほどの、美しい瞬間があった」と振り返る。
「今回の砂浜のデッサンは、その人の人生経験によっても見え方が違ってくる。ぜひ自由に楽しんでもらい、いろんな意見を聞かせてもらいたいです」と話している。
午前11時から午後5時(最終日は3時)まで。
問い合わせは同ギャラリー(℡073・432・5600)。