紀美野町 小川裕康町長が就任【特集】

子育て支援 県下一のまちへ

紀美野町は、小川裕康町長(65)のもと、新たな町政がスタートした。8月に亡くなった寺本光嘉前町長の遺志を引き継ぎ、「『子育て支援県下一』のまちを目指し、町民と共に笑顔あふれるまちづくりを進めたい」とさらなる町の発展へ、意欲を燃やしている。

 

 

 

教育費負担を軽減

町内で安心して子どもを産み育てることができるよう、子育て世代の経済的支援に力を入れる。町内に2カ所あるこども園は6カ月から入所可能で保育料、給食費が無料。保育時間は月曜~土曜の午前7時~午後7時と充実。自宅で子育て(1~3歳)をする家庭にも毎月1万円の給付金がある。

ことし4月からは小中学校の給食費が無料に。来年4月を目標にファミリーサポートセンターの設置を進め、病後児保育の施設設置も進行中。医療費は18歳まで無料。「妊産婦の頃から高校までを子育てとして捉え、長期的に支援していきたい」と話す。

同町の人口は約8400人。少子化や若年層の町外流出による高齢化と人口減少が大きな課題だ。町への移住を促進しようと、2006年には短期滞在施設を3カ所作り、これまでに約90世帯が同町に移住した。

福祉においては、一人暮らしの高齢者や高齢者世帯が安心して生活できるよう支援。緊急通報装置を貸与し、急病や事故などの緊急時にボタン一つで関係機関に連絡が入るシステムになっている。日常生活用具の給付や貸与なども行う。

また、高齢化が顕著な長谷毛原地区では、車が運転できない住民のため、乗り合いの買い物支援サービス「きみのり」の実証実験も実行中で、買い物弱者支援の一助になっている。

 

 

 

 

観光資源生かし活性

星の町としても知られる同町には、みさと天文台の他、子どもから高齢者まで幅広い年代が楽しめる、のかみふれあい公園など、自然を生かした観光名所が多くある。中でもススキで有名な生石高原は関西一円から観光客が訪れる人気スポット。1988、89年のふるさと創生1億円事業で水道施設とレストハウス「山の家おいし」を建設し、89年10月にリニューアル。当時、小川町長は旧野上町の職員だったことから、土日は山の家おいしで調理などを手伝っていたという。「そこで町の人たちの話を聞いたことはいい経験になった」と振り返る。生石高原までの道路を観光バスが通行できるよう整備を進め、さらなる観光客の呼び込みを図る。その他、町の特色を生かした道の駅の建設を予定。

寺本前町長から引き継ぐ事業としては着工1年目の下佐々浄水場の更新、町内全域を担う消防庁舎の移転新築事業。それぞれ3年で完成を目指す。

「町民との距離の近さを大切にしたい」と話し、できる限り多くの町民と交流を図りたいという。親しみを持てる役場づくりを目指し、職員には積極的にあいさつしたり、声掛けをしたり。職員には、町民に対し常に分かりやすい言葉を使って説明するよう呼び掛ける。「町民の皆さんと一緒に、この町の未来をつくっていきたい」と笑顔で話している。

 

 

 

 

 

町民と共に 1期目スタート

 

[プロフィル]【小川裕康(おがわ・ひろやす)】 1956年2月4日生まれ。旧野上町出身。県立海南高校、関西大学商学部を卒業後、79年に旧野上町役場に入庁し、旧美里町との合併で誕生した紀美野町では総務課長、参事などを歴任。2010年から副町長を務め、ことし9月、寺本光嘉町長の死去に伴う町長選で無投票初当選を飾った。趣味はゴルフ。長い手足を生かしドライバーの飛距離は250ヤードを超える。平均スコアは90の腕前。紀美野町のかみふれあい公園のパークゴルフ場での「第2回グランドチャンピオン大会」で優勝し、当時の大会記録を持つ。