けが克服し優勝 走り幅跳びの山本晴海さん

和歌山市立西浜中学校(同市西小二里)の1年生、山本晴海さん(13)が、腰椎分離症を克服して初めて臨んだ同市中学校秋季総体と県中学校秋季陸上競技大会の1年男子の部、走り幅跳びで、それぞれ5㍍35、5㍍37を記録し、ともに優勝に輝いた。

6歳から陸上競技を始めた山本さんは、小学6年生の時に疲労骨折が主な原因とされ、成長期のスポーツ選手に多く見られる同症と診断された。医師から参加を止められながらも出場した3月の和歌山陸上競技協会の記録会で、自己ベストの5㍍16を超える5㍍66を記録し、16年ぶりに県タイ記録をマーク。

以来、同症を克服するため、部活だけでなく、体育など一切の運動ができない安静の日々を過ごしてきた。当初、復帰は早くても1年後といわれていたが、8月末にリハビリを担当する医師から「骨が引っ付いてきたのでちょっとずつ練習してもいいよ」と言われた。

「うれしかった」と笑顔で振り返るが、市の大会まで1カ月を切る中、いざ軽い練習から始めてみると、体が重くてうまく動かずに驚いた。「本調子になるまで地道にやっていかなあかんな」と覚悟を決めた。父、典史さんの指導のもと、競技場で2回ほど練習し、同校のグラウンドでは1度も跳ばないまま本番に挑んだ。

大会で初めて山本さんの跳躍を見たという同校陸上部の顧問、堀井昌教諭(37)は「中学1年生とは思えないほどダイナミックな跳躍だった」と振り返る。1本目の跳躍は、「久しぶりの大会で気合が入ってスピードが上がった」といい、ファウル。2本目で5㍍21を記録し、優勝が見えたため、3本目はより思い切って跳んだ結果が優勝につながった。

市、県ともに最後の跳躍がその日のベストを記録したことについて、「安全に記録を残し、1位が見えたら自己新記録を狙う」のが戦略だと話し、優勝はしたが、自己新記録は出ていないことに目を向ける。「中学3年生までに7㍍40の日本記録を超す記録を出したい」と意気込む。

堀井教諭は「ずっと伸びていく息の長い選手になってほしいので、けがには気を付けて伸び伸びやってほしい」と願っている。

 

賞状とメダルを手に山本さん