「高価な遊び」体験 鳥の劇場ワークショップ

「紀の国わかやま文化祭2021」に出演するため来県した鳥取県の劇団「鳥の劇場」が17日、紀伊コスモス支援学校(和歌山市弘西)と紀北支援学校(同市冬野)を訪れ、県内初となる演劇ワークショップを実施。自由に発声や発語する楽しさを通して、子どもたちにコミュニケーションをとる喜びや、物語の世界に入ることの面白さなどを伝えた。

同劇団は2006年、演出家の中島諒人(まこと)さんが中心となり、設立。鳥取市鹿野町で廃校になった幼稚園・小学校をリノベーションし、収容数200人を誇る劇場を開設した。

13年からは、障害のある人とない人が一緒に舞台をつくることで、日常生活では隠れがちなそれぞれの豊かさを発見するとともに、その素晴らしさを観客と分かち合うことを目指すプロジェクト「じゆう劇場」をスタートさせた。

例年、参加者を公募し、鳥取県内をはじめ全国で作品を発表しており、20日午後1時からは、和歌の浦アート・キューブ(和歌山市和歌浦南)で開かれる「心の豊かさを見つける演劇会」に出演する。

紀北支援学校で開かれた演劇ワークショップには、同校の3、4年生の児童ら7人が参加。同劇団の中島代表理事と齊藤頼陽(よりあき)副芸術監督の指導のもと、まずは一人ひとりが呼んでもらいたいニックネームを付けるところからスタートし、体を使ってさまざまなゲームをしながら親交を深めた。

部屋を図書館や美術館などと想定し、そこにあるものに化ける〝化け化けかくれんぼ〟をしたり、絵本『ブレーメンの音楽隊』の登場人物になり切って動きを演じたりと、自分たちで考えて表現することの楽しさを実践しながら学んだ。

「楽しい」「もっとやりたい」と言う児童らを前に、齊藤副芸術監督は、「一人ではなく、みんなでイメージを共有することの面白さを知ってもらえれば」と話した。中島代表理事は、「演じることはテレビゲームなどよりももっと〝高価な遊び〟」とし、「一人ひとりそれぞれの表現をすることで、先生や子どもたちが互いの良さを発見してもらえれば」と願っていた。

『ブレーメンの音楽隊』の動物たちを演じる児童ら

『ブレーメンの音楽隊』の動物たちを演じる児童ら