原案、修正案とも否決 IR住民投票条例

和歌山市議会総務委員会は25日午後、市民団体が直接請求した、カジノを含む統合型リゾート(IR)誘致計画の賛否を問う住民投票条例案を採決し、議員発議による修正案を賛成4、反対5、原案を賛成2、反対7でいずれも否決した。住民投票実施の可否は、27日の本会議での採決で最終決定する。

総務委の質疑では、松井紀博市議(政和クラブ)が「2万余りの署名を軽んじるわけにはいかない。住民投票を実現すべき」とした上で、原案に市議会の権限を抑制する規定があること、住民投票の成立要件の規定がないことなどを問題視。成立要件の投票数を有権者の2分の1とするなどの修正案を北野均市議(同)と共に提出した。

原案、修正案に対する討論では、賛成の立場から姫田高弘市議(共産)が「地元同意について市長と市議会だけで決める前に、市民の声を聞いてほしいという切実な声と法定数の約3倍の署名の重さを考えるならば、住民投票を実施するべき」と発言。

反対の立場からは、松本哲郎市議(公明)が「住民投票そのものを否定するつもりはないが、県の区域整備計画も示されない中、何をもって賛否を住民に問うのか、理解に苦しむ」、中谷謙二市議(自民)が「IR誘致の是非を問うのであれば、事業主体で申請者である県に対し請求するのが本来の形。現職知事は知事選でIR誘致を訴え、民意を得ていると考える」などと述べた。

採決は委員長を除く9人で行い、修正案の賛成は政和クラブ2人と共産2人の計4人、原案の賛成は共産2人にとどまった。

請求代表者の一人として総務委に出席した市民団体「カジノ誘致の是非を問う和歌山市民の会」共同代表の豊田泰史弁護士は「否決は残念の一言に尽きる。政和クラブが住民の声を聞こうと尽力した政治姿勢には敬意を表する。反対した議員には、市民のことを考え、この問題に向き合う姿勢が感じられなかった。本会議での各議員の行動をしっかり見ていく」と話した。

 

修正案の採決で起立する賛成の4市議