新生児の任意検査広がる 日赤が県内初導入

日赤和歌山医療センター(和歌山市小松原通、平岡眞寛院長)は、県内で初となる「新生児オプショナルスクリーニング検査」を導入。生後間もない赤ちゃんから採血し、先天性の希少疾患の可能性の有無を調べるもの。公的事業でなく、保険対象でもないため、1万1000円の費用がかかるが、昨年11月の導入から1月中旬までに約150件実施され、希望者は9割近くに上るなど、関心の高さがうかがえる。

日本では1977年10月、公的事業「子どもの生育段階で起こる障害発生の予防事業」として全国の市町村でスクリーニング検査の導入がスタート。発達に影響する可能性がある病気を発見し、早期治療につなげようと、現在は分娩を取り扱う全ての施設で、20疾患を対象とした「新生児マススクリーニング検査」が行われている。

今回オプショナルとして導入されたスクリーニング検査では、ムコ多糖症(Ⅰ型、Ⅱ型、ⅣA型、Ⅵ型)、ファブリー病(男児のみ)、ポンぺ病、重症複合免疫不全症、副腎白質ジストロフィー(男児のみ)、脊髄性筋萎縮症の9疾患が対象。

いずれも早期発見・早期治療が有効な病気でありながら、生育が進んで症状が現れた場合、患者数が少なく、他の病気でもみられる症状が多いことから、診断までに時間がかかってしまうことなどが懸念されている。

同検査は、これまでの新生児マススクリーニング検査と同様、生後4~6日の赤ちゃんのかかとから血液を採って分析。1度のごく少量の血液検査で行うため、新生児への特段の負担はない。結果は2~3週間後に出るため、1カ月検診で結果を伝えるシステムになっているという。

同センターの小児科部の原茂登副部長は、「これほど幅広い疾患に対応したスクリーニング検査は西日本で唯一」とし、「早く疾患が分かれば早く治療に踏み込めるので、その後の家族の生活も変わってくる」と大きな期待を寄せている。

同検査をはじめ、同センターでは入院中に新生児期に必要な検査を受けられる体制を整えており、地域周産期母子医療センターとして、出産・育児を支援する医療体制の充実に努めている。

 

総合病院としてのメリットに期待を込める原副部長