世界からの留学生15万人が足止め 政府に水際対策の基準変更を提言

「コロナの水際対策により、世界各国から日本に留学を希望する学生、約15万人が足止めにあっている」「長い場合は2年間待たされ、留学先を韓国に変更するケースも出てきている」
先日、和歌山外国語専門学校の関係者の皆さまから、コロナ禍で日本への留学の夢を果たせずに苦しむ学生の実情についてお伺いいたしました。既に、日本の大学や日本語教育機関等で在留資格認定証明書を取得していながら、未入国の留学生は14・7万人に達しているとのことでした。
日本にあこがれや希望を抱き、私費を投じて留学を目指す学生は、将来的に諸外国と日本をつなぐ架け橋となり、友好関係の礎となる極めて重要な人材です。また、わが国の教育・研究力の向上にも大きく寄与してきた歴史があります。
イギリスではワクチン接種証明か陰性証明があれば入国を容認。アメリカは両方の証明で入国可能としており、オーストラリアは接種完了を条件に隔離も不要としています。先進主要国でいまだに留学生の入国をも制限している国は日本のみです。事実上、留学生の新規入国が停止され3年目の春を目前に控える中、留学先をアメリカや韓国などに変更するケースも出てきています。また、昨年はカリフォルニア大学が日本との交換留学を全て中止するなど、日本人の留学が断られる事態が発生しています。
このような事態に日本の経済界も危機感を募らせており、十倉雅和経団連会長は「日本に留学したい若い人々の入国を拒否し続けることは、将来の知日派を減らしてしまう」と懸念を示し、三木谷浩史新経済連盟代表理事も「優れた人材が日本から離れていくことによる長期的な損失は計り知れない」とし、政府の水際対策の基準見直しを強く求めています。
また、受け入れ機関である大学や日本語学校の経営にも深刻な影響が生じており、このままでは留学が再開しても教育機関の経営が困難なケースも発生しかねない状況であります。
事態は深刻かつ急を要します。私もコロナの水際対策の重要性は理解しつつも、人口減少のわが国において、優秀な人材の獲得競争に後れをとることは、将来的に国益を大きく損なう恐れがあると考えます。従って、留学生の入国に関しては、ワクチン接種証明、PCR検査の徹底、受け入れ機関による厳格な個室待機等を条件に基準緩和を早急に検討するよう、去る2月10日、松野博一官房長官に対応を求めました。また、和歌山県内の経営者や一次産業関係者の皆さまから多くのご要望を頂いている技能実習生についても、同様に対応を求めました。
間もなく、政府より基準の見直しが発表される見通しではありますが、その後、遅滞なく受け入れが進み、留学生や技能実習生の皆さんが安心して日本での生活のスタートが切れる状況となるよう、引き続き見守ってまいりたいと思います。