中野BCの歩み 本紙連載「杜の凰」本に

和歌山県海南市藤白の酒造会社中野BCの歴史を創業者の故中野利生氏と、2代目で現会長である長男の幸生氏(82)の人物像に焦点を当ててつづった本紙連載「杜(もり)の凰(おう)」の本が完成した。執筆した著作家髙田朋男さん(66)は「健康食品や観光事業も手掛けるユニークな会社の根底にある、トップが工夫や挑戦を忘れず歩んだ歴史が分かる一冊」と話す。

同社は1932年、利生氏が始めた中野醤油(しょうゆ)店が前身。戦後は焼酎を皮切りに代表酒の清酒「長久」や梅酒、ワインなどを製造している。

本は、利生氏が苦労して会社を立ち上げ、実業家松下幸之助が語る「経営学は学べても生きた経営のこつは教えて分かるものではない。一種の悟り」との言葉を胸に創意工夫する姿を描く。

慶応大学出身の幸生会長の話では、現場を大事にする姿勢で不動産事業などにも手を広げ、本業を生かして約40種類の梅酒を販売する会社に成長させた功績も紹介されている。幸生会長は「父も私も経営のこつを何とかつかもうとやってきた。まだまだ勉強中です」と謙遜する。現在は幸生会長の長男幸治氏(46)が社長を引き継ぐ。

毎週水曜日に同タイトルで本紙に連載された内容の他に、幸生氏の講演録などもまとめられている。非売品だが、本社に取りに来てもらう条件で先着順30人に無料配布する。問い合わせは同社(℡073・482・1234)。

本を紹介する髙田さん㊧と中野会長

本を紹介する髙田さん㊧と中野会長