水泳ジュニア五輪1位 パルポート中山響選手
和歌山県立星林高校3年で、パルポートワカヤマ(和歌山市湊御殿)所属の中山響(きょう)選手(17)がこのほど、東京で開かれた「第44回全国JOCジュニアオリンピックカップ春季水泳競技大会」に出場。18歳以下の高校生が対象となるCS区分の男子1500㍍自由形で自己記録を更新し、14分53秒32で1位に輝いた。中山選手は「日本代表入りし、オリンピックに出場したい」と意気込み、週6日、一日平均7000㍍のトレーニングに励んでいる。
中山選手がスイミングクラブに通い始めたのは0歳の頃。当初は別のクラブに所属しており、小学1年で初めて試合に出場した。その後、中学3年の春に「もっと速くなりたい」との思いで同クラブの楠本一彦コーチに自ら指導を頼み、移籍した。
移籍後は楠本コーチ指導のもと、「自らを追い込める精神力を養うトレーニング」に励み、4カ月後の2019年8月、「第59回全国中学校水泳競技大会」で優勝。21年4月にはコロナ禍のため、近畿大会など全国の大会のタイムを集計してランキングする通信大会で15分0秒02という自己記録を打ち出して優勝した。
しかし、ことし3月の大会では、自己記録に30秒ほど及ばず不振に終わったことから、中山選手は「ここから気持ちを切り替え、『結果を残したい』という強い気持ちで練習した」と振り返る。この思いを後押しし、楠本コーチは約1カ月間、より強度の高い量と質のトレーニングメニューを組み、二人三脚で今大会に臨んだ。
予選について中山選手は「掲示板が見えるコースだったので、いいペースを刻んでいるのが分かった」と振り返り、自己記録を約3秒半更新し、14分56秒48で1位通過。15分を切ったのは、中山選手1人だけだった。
迎えた決勝戦でも、ストローク回数をしっかりと数えながら落ち着いた泳ぎをみせ、前日の予選での自己記録をさらに4秒ほど縮めて優勝した。中山選手は「大会記録(14分52秒21)を狙っていたので悔しかったけれど、結果を残せたので良かった」と笑顔。「最後まで体力を温存し、少ないストロークで無駄なく泳げたのが結果につながったと思う」と勝因を語った。
中山選手は同大会の男子400㍍自由形でも4位に入賞。楠本コーチは、中山選手の強みを「体のバランスが良く、呼吸のタイミング、ストロークの軌道などがきちんとできているからこその抵抗の少ない泳ぎ」とし、「ターンの前後、ストリームラインの姿勢で距離を伸ばしていくことが課題の一つ。まだまだやらないといけないことは山積み」と背中を押す。
中山選手は28日から神奈川で開かれる「第98回日本選手権水泳競技大会」にも出場予定。同大会で良いタイムを出し、高校生で日本一になると、世界ジュニアの出場権が得られるため、「ジュニア日本代表として世界大会に出るのが目標」と気持ち新たに水をかき、前へ進む。