お城でアート楽しもう 虎の絵描くイベント
和歌山市の和歌山城西の丸広場で4日、アートを楽しむイベント「みんなで虎を描こう!」が開かれ、子どもから大人まで幅広い年代の参加者約20人が、さまざまな大きさの段ボールに虎の絵を自由に描いて楽しんだ。城を背景に堂々と並ぶ20頭以上もの虎は約1週間(雨天除く)、同広場で展示される。
一般社団法人「城プロジェクト」が、お城を活性化させるための市民参加型イベントの一環で、和歌山城が別名「虎伏城」とも呼ばれることにちなんで企画。龍神村のデザイナーで造形作家の溝端秀章さん(70)が講師を務めた。
溝端さんは「ダイナミックに生き生きとした線で、細かなことを気にせず、遊ぶように楽しく自由に描くことが大切」とアドバイス。参加者らは用意された虎の写真を見ながら、白色のチョークで下描きし、黒色のアクリル絵の具を使って仕上げると、普段はなかなか描かないような大きさの作品が完成した。
柳深月(みつき)ちゃん(4)は「虎さんの顔は怖い気がしたから、優しい顔にした」とにっこり。祖母と一緒に参加した矢本啓(ひろ)さん(7)は「大きく描くのは難しかったけれど、うまく描けたのでみんなにも見てほしい」と話した。
同プロジェクトの川島寛昭(かんしょう)さんは「虎というテーマで描いてもどれ一つとして同じ虎はおらず、多種多様で面白い」と笑顔。溝端さんは「動物を大切にする心と創作の面白さを知るきっかけになれば」と願っている。
子どもの手形残す 和大生の企画も
同広場では同日、和歌山大学の学生2人が「和歌山を盛り上げたい」とことし1月に立ち上げた「ワカテラス」が主催するイベントもあった。同団体の代表で経済学部4回生の田中琉太さん(22)は、城で〝おもてなし忍者〟としても活動している。
田中さんは児童虐待や不登校など子どもを取り巻く問題に目を向け、その一つの原因として「大人が地域の子どものことを考える時間が少ない」と挙げる。そこで18歳以下の参加者らが手形を押し、和歌山の好きなところを書く同イベント「子どもたちの『てがた』in和歌山城」を企画。「手形を見た大人が『こういう子どもたちがいるんだな』『こういうふうに和歌山のことを思っているんだな』と気付くきっかけになれば」と願いを込める。
「和歌山が大好き」と話す楠戸紅春(こはる)さん(8)は、手形に「みかんだいすき」の文字を添えた。集まった作品は今後不定期で同広場などに展示する予定。