夏の音色で「魔」退散 和歌浦天満宮に風鈴
夏の風物詩・風鈴の音色を楽しむ「風鈴祭り」が16日、和歌山市和歌浦西の和歌浦天満宮で始まった。8月31日まで。朱色の回廊や社務所につるされた74個の鉄製風鈴が涼やかな音を響かせ、参拝者を迎える。
同天満宮によると、風鈴は平安時代に貴族たちが「魔よけ」として軒先につるすようになったという。コロナ禍に邪気をはらおうと、同天満宮ではことし初めての実施。
つるす風鈴の数には小板政規禰宜が「コロナ74(なし)」と願いを込めた。
このうち、重要文化財「楼門」脇の回廊の風鈴には、和歌をしたためた短冊をつるしている。地元・和歌浦地区の書道クラブのメンバー9人が奉納したもので、趣のある筆致で書かれた歌は『万葉集』から10首、『百人一首』から20首の計30首。和歌浦湾から吹く海風を受けて短冊が揺れるたびに、風鈴がチリーン、チリーンと心地よい音色で涼を演出する。
小板禰宜は「風流を楽しみつつ、風鈴の古くからの意義を知ってもらい、平穏にと願いを込めてもらえれば」と話している。
また同天満宮では、18日まで、夏祭りをテーマに、「祭」の鉢巻きを締めた鷽(うそ)鳥や夏らしい扇子などを手水(ちょうず)舎に飾る。
24日、25日には扇子を天神祭のうちわに替えた、天神祭バージョンを披露。25日は午後6時から本殿前の参道で、茅の輪くぐりも行われる。
問い合わせなどは同天満宮(℡073・444・4769)。