一体で犯罪被害者支援を 県職員ら研修会
和歌山県は1日、犯罪被害者の支援スキルの向上を目的に、県自治会館(和歌山市茶屋ノ丁)で市町村の職員を対象にした研修会を開いた。紀の国被害者支援センターとの共催で、県内19の市町村と振興局、警察の担当職員約40人が参加。地域や業種を超えた連携など、犯罪被害者へのより良い支援を学んだ。
県では途切れない支援を目的に、2019年に「県犯罪被害者等支援条例」を制定。20年には同条例に基づき「県犯罪被害者等支援基本計画」を策定しているが、地域間で支援の在り方に格差があるのが現状だという。
講演では、全国被害者支援ネットワーク理事などを務める関根剛さんが「あなたの市町村の犯罪被害者をどう支援するか」をテーマに地域、自治体にしかできない被害者の生活支援について話した。
関根さんは「法制度や知識があっても被害者の本当のつらさを理解しないと、担当者が二次被害を与える可能性がある」と指摘。「犯罪被害者は人に対する不信感を持っているので、信じられる人、自分を見てくれる人がいると感じてもらうことが信頼を取り戻す大事なポイント」と話した。
続くワークショップで、参加者は犯罪被害者にどのような支援ができるか、例題を基にグループに分かれて意見交換した。
白浜町役場民生課福祉係の廣畑美香さん(48)は「他の自治体の支援体制が聞け、業務上の意思疎通ができたので今後に生かせる」、和歌山東警察署警務課の井戸陽子さん(37)は「市町村の連携の大切さを感じた」と熱心に参加。海南市市民交流課の嶋田有希子さん(44)は「今後起こりえることだと思うので、それぞれの役割をしっかり把握してなるべくスムーズにできるよう準備しておきたい」と話した。
その他、京都府犯罪被害者支援コーディネーターで、犯罪被害者遺族でもある岩城順子(よりこ)さんによる講演も行われた。