違法漁業抑止に先進的 加太漁協でJICA研修
ことし5月にマダイ一本釣り漁業で水産エコラベル認証(MEL認証)を取得するなど、加太漁業協同組合の取り組みが国内外のIUU(違法、無報告、無規制)漁業の抑止に先進的だとして、IUU漁業対策に携わる7カ国(パプアニューギニア、サモア、パラオ、フィジー、インドネシア、東ティモール、リベリア)8人の関係機関職員が7~8日、和歌山市加太の同漁協を訪れ、研修会が開かれた。
水産エコラベル認証制度は、水産資源の持続的利用、環境や生態系の保全に配慮した管理を積極的に行っている漁業・養殖の生産者と、そのような生産者からの水産物を加工・流通している事業者を認証するもの。
国連食糧農業機関(FAO)が2005年、ローマで採択した水産エコラベルのガイドラインに沿ったもので、「国際標準スキーム」として広く国際的に認知されている。
今回の研修会は、本年度のIUU漁業の抑止に係る政策と対策についてのプログラム研修として開かれたもので、独立行政法人国際協力機構(JICA)が主催。
研修会には、同漁協の代表理事組合長の由井臣さんと、専務理事の大川惠三さんが出席し、水産エコラベル認証を取得したマダイをはじめ、ワカメやイセエビ、ナマコなど、種別に漁期や規模、禁止漁法などを細かく決めた「共同漁業権行使規則」についても説明した。
その他、水産資源の確保と収獲量の増加を目的とした「魚礁設置」や「増殖および放流」、組合員が交代で密漁などを監視する監視船「はやて」による「指導」、地域の子どもへの「食育」など、漁協で取り組んでいるさまざまな事業を紹介。
SDGsの目標の一つ、「海の豊かさを守ろう」の取り組みとして注目されているIUU漁業に対する同漁協の取り組みを聞いた参加者らは、資源管理型漁業の取り組みや、別の港からの漁業権の侵害行為の有無などについて積極的に質問し、知識や理解を深めた。
参加者の一人、フィジーのナタドラ・ライチェリー・ルジさんは「地形の違いや資金面での難しさはあるけれど、加太漁協の取り組みは目を見張るものがあった」と話し、「加太はとっても静かで、まるでフィジーに帰ってきたみたいな気がした」と笑顔を見せた。
由井さんは「4代目としてずっと継承してきた加太の漁師たちの取り組みについて話したので、それぞれの国に持ち帰ってもらい、密漁などの取り締まりの参考にしてもらえたら」と話した。