海南市美術展覧会 対話型の鑑賞を初導入
第18回海南市美術展が1日、日方の市海南保健福祉センターで始まった。9日まで、「洋画」「日本画」「書道」「写真」「工芸・手芸」分野で175点が並ぶ。
今回から新しい取り組みとして、ニューヨーク近代美術館で開発された教育プログラム「対話型アート鑑賞」を導入。
市民の要望を受け、知識に頼らず美術作品を自由な発想で楽しんでもらえるようにと実施。一つの作品を鑑賞し、グループでディスカッションを行った。
2日午前に行われたアート鑑賞では、ナビゲーターを務める画家の小川泰弘さん(69)と共に参加者6人が会場を見て周り、どの作品をテーマにするかを選んだ。
森を描いた洋画「古い道」を選びディスカッション。参加者らが「遠くからと近くから見るのとでは印象が変わる」、「全体的に暗く見えるが、右上に光が見えるので本当は天気がいいのかな」など自由に意見を交わした。
作者の家の近所を描いた洋画「帰路」では、「これは建物かな、お墓かな、柵かな」、「この道の先はどこにつながっているのだろう」などと話した。作者が20代と聞いた参加者は「渋い絵なので高齢の人かと思った」「若いのに近くの良さに気が付くのはすごい」と感想を述べた。
小川さんは「対話型アート鑑賞は私も初めてのこと。自由な発想で正解がない。さまざまな意見を聞いて『えー』と思うことがあった。楽しかった」と話した。
参加者の上芝智子さん(39)は「思ったことを言えました。参加しやすくて楽しかった」と笑顔。神道吉恵さん(47)は「対話型鑑賞は子どもの頃から美術に触れることができる。小中高生にも取り入れたら面白いのでは」と話した。
同鑑賞は午後にも、湯川雅紀さんをナビゲーターに迎え行われた。