第2の故郷に凱旋 十両優勝の栃武蔵関

大相撲九月場所で11勝4敗の好成績を収め十両優勝した栃武蔵関(本名=菅野陽太)が5日、和歌山県有田市にある母校の県立箕島高校を訪問し、優勝を報告した。同窓会、相撲部後援会、相撲部OB会から「箕島高等学校」の刺しゅうが入った緑色の化粧まわしを受け取ると、栃武蔵関は「和歌山は第2のふるさとのように思っています」と笑顔を見せた。

同校出身4人目の十両力士となった栃武蔵関は、埼玉県入間市出身の23歳。入間少年相撲クラブにいた中学3年時に同校相撲部の池田真之部長(当時監督)にスカウトされたことが縁で2014年、同校に入学。

度重なるけがを乗り越えて、3年時には第67回全国高校相撲新人選手権大会個人戦と第100回記念高校相撲金沢大会で優勝。第21回世界ジュニア相撲選手権大会無差別級で準優勝などの実績を残した。

中央大学法学部に進学後は、2年時に第96回全国学生相撲選手権大会で個人優勝し、学生横綱の座を獲得。同大では、成田旭(元関脇・豪風)以来、17年ぶりの学生横綱の誕生となった。

大学卒業後は、同クラブ時代からゆかりのある春日野部屋に入門。栃武蔵関は「クラブ時代に合宿に来てくれていたので親しみがあった」と話し、春日野親方(元関脇・栃乃和歌)も同校卒業生であることも入門の決め手となったという。

贈呈式後には、同校の相撲場を訪ね、後輩たちを激励した。池田部長は「高校にスカウトする前から彼の存在を知っていた」とし、「どうしても欲しかった選手だったので入部してくれた時の感動は今も忘れられない」と懐かしんだ。

また、この日は県庁に仁坂吉伸知事を訪ね、優勝の喜びを報告。「一日でも早く、幕内昇進したい」と気持ちを新たにした。仁坂知事は「高校時代と違い、髷(まげ)を結うと印象が違いますね」「幕内昇進後も上を目指してほしい」と期待を寄せた。

母校の箕島高で関係者から化粧まわしを贈呈される栃武蔵関㊧

母校の箕島高で関係者から化粧まわしを贈呈される栃武蔵関㊧