LPガス迅速に供給 大規模災害に備え訓練
地震などの大規模災害で停電が発生した場合でもLPガスが安定して供給できるよう、和歌山市船所のエコガス㈱で10月26日、中核充填所実働訓練を実施。同社や近隣充填(じゅうてん)所、消防機関の職員ら約50人が参加した。
県LPガス協会(同市黒田)が主催し、今回で9回目。会場となった同社を含め、全国344カ所の充填所が大規模災害時にLPガスの供給拠点となる「中核充填所」に指定されている。
県内では4カ所(エコガス㈱、大丸エナウィン㈱和歌山支店、㈱エネアーク関西和歌山南支社田辺支店、南紀プロパンガス㈱)が中核充填所に指定されており、毎年会場を変えて同訓練を実施している。
この日の訓練は、県南方沖でマグニチュード8・4の地震発生により、家屋の倒壊や流出が数万戸発生し、稼働不能な充填所があるとの想定で行われた。
開式でエコガス㈱の橋豊喜専務取締役が「常日頃の仕事の中で基本点検を繰り返し、地域に役立つ充填所を維持していきたい」との向山精二代表取締役社長の訓示を代読。
訓練は非常用LPG発電機を起動させるところから始まり、国家備蓄のLPガスの受け入れや、近隣の事業所から持ち込んだ容器および自社緊急車両へのLPガスの充填、衛星携帯電話を用いた通信なども実践的に行われた。
また、地震によって破損した隣接建物から火災が発生したと想定し、延焼防止のためのタンク散水や、市消防局北消防署紀伊分署による放水も行われた。
閉式で県危機管理の中嶋宏消防課長は、早期に復旧が可能なLPガスは災害に強いエネルギーとし、「実践的な訓練がより有意義なものとなりますように」とあいさつ。
紀伊分署の皆本勝分署長は「災害時にも組織力を発揮していただけるものと評する」と講評し、同協会の佐伯浩三会長は「今後も訓練のための訓練でなく、災害を想定した臨場感のある訓練を続けていきたい」と話した。