ブラジル県人会 奏者が付属小で交流
ブラジル県人会のメンバーで、同国サンパウロ出身・在住の尺八、フルート奏者のシェン・響盟(きょうめい)・リベイロさん(62)が7、8日、和歌山市内の小学校を訪れ、児童らに同国についての紹介や、尺八とフルートの演奏を通して交流を深めた。
リベイロさんはサンパウロ州立ジュニア・オーケストラなどの首席フルーティストとして活躍しながら、さまざまな楽器について勉強。レコードで初めて耳にした尺八の音色に魅せられ、1987年に尺八と日本の伝統文化を学ぶために来日した。
尺八奏者で後の人間国宝、故・山口五郎氏に師事し、2013年には琴古流尺八竹盟社師範を取得。現在は同国で演奏者の他、プロデューサーとしても活躍している。
リベイロさんの妻が那智勝浦町出身であることから、県出身者やその子孫など、県にルーツのある人が集う同会に所属している。
先月からコンサートのために来日するのを機に「和歌山で子どもたちと交流したい」とのリベイロさんの要望を受け、県国際課が市内の小中学校に希望を募ったところ、和歌山大学付属と市立宮、市立西和佐の三つの小学校での実施が決まった。
7日に和歌山大学付属小学校(和歌山市吹上)を訪れたリベイロさんは、6年B組の児童ら約30人に「ブラジルは日本の反対側にあって時差は12時間」などと紹介。自身が尺八に興味を持った際、相談したのがブラジルの移民だったと振り返り、「日本とブラジルは一番遠い国で文化や言葉は違うけれど、移民たちのおかげで私は今ここにいる」と話した。
児童らはブラジル音楽で使われる「ガンザ」というシェイカーのような楽器を模した、米を入れたペットボトルを手に、リベイロさんの演奏に合わせてリズムをとったり、ステップを踏んだりと楽しんだ。
御前百花さん(12)は「リズムは難しかったけど、音楽でつながれた気がしてうれしかった」とにっこり。杉浦顕仁(あきと)さん(11)は「もっと他の国の人とつながって、その人の文化を知りたい」と話した。
リベイロさんは自身もまだまだやりたいことがたくさんあるとし、「自分の生きがいを見つけたら、それを宝物にして練習や勉強を頑張って」とエールを送った。