地域の宝を守る 文化財防火デー前に訓練
26日の「文化財防火デー」を前に、那賀消防組合は22日、和歌山県紀の川市穴伏の名手八幡神社で総合消防訓練を行った。
同神社自衛消防隊10人、紀の川市消防団17人、那賀消防組合14人の計41人が放水などの手順を確認し、文化財を守る意識を高めた。
文化財防火デーは、1949年のこの日に法隆寺金堂の壁画が焼損したことを教訓に制定。文化財の防火意識の高揚と、文化財愛護の気持ちを再認識する機会にと全国各地で毎年行われ、ことしで68回目。同神社は3社を祭っており、丹生神社、八幡神社、天満神社本殿は木造檜皮葺春日造の本殿3棟として県指定文化財となっている。
訓練は、境内を清掃中の神職らが林から煙が出ているのを発見し、初期消火を試みるが火の勢いが強く、県指定の文化財である一之宮神社本殿に延焼する恐れがあるとの想定で実施。非常ベルを鳴らし、119番通報とともに鐘楼の鐘を突いて住民に火災を知らせ、市消防団の指揮車両1台、放水車両3台を含む計10台の消防車を使用して訓練を行った。
火災に気付いた自衛消防隊は、文化財を搬送後、参拝者を避難誘導しながら屋外消火栓で初期消火を実行。先着の消防隊員が、火の勢いが収まらないとの情報で消防隊の増隊を要請。同神社南側から給水し、本殿横の鳥居付近に放水。屋外消火栓やホースを使って消防隊、消防団を合わせて6口から一斉放水された。
岸本健市長は、「今回の訓練を契機に災害から文化財を守る重要性を大事にするとともに、連携強化に努めてもらいたい」と呼び掛け、同神社の金尾義達宮司は、「地域の人にお守りいただいた宮さんなので、これからも地域の防災意識を高めて守っていきたい」と話していた。