4年ぶり300億円台 紀の川市23年度予算

紀の川市は21日、2023年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度比10億1000万円(3・5%)増の301億9000万円。4年ぶりに300億円台の大型予算となった。就任以降、初の本格的な当初予算編成となった岸本健市長は「私の気持ちを漢字一文字にするならば『挑』。将来を見据えた新たな取り組みに挑戦したい」とし、人口6万人の回復と維持などを将来の目標に掲げた。予算案は24日開会の定例市議会に提案する。

一般会計歳入
市税は前年度比2億8880万3000円(4・3%)増の69億5126万円。ふるさとまちづくり寄付金の増加などで自主財源の構成比は34・5%(前年度31・1%)に増加。新型コロナウイルス対策などの地方特例交付金は微増、地方交付税は4000万円(0・4%)減の100億1000万円となり、依存財源の比率は65・5%(同68・9%)に減少した。

一般会計歳出
義務的経費は1・0%減の136億8582万8000円。投資的経費は11・4%増の34億6078万3000円。その他の経費は6・5%増の130億4338万9000円。
一般会計に特別会計と公営企業会計を含めた予算総額は2・3%増の527億4739万2000円となる。

 


 

市は、掲げる将来像「人が行き交い 自然の恵みあふれる 住みよいまち」の実現に向けて、本年度当初予算を「躍動する紀の川市を創るための予算」と位置付け、「呼び込む」「稼(かせ)ぐ」「育む」「未来をつくる」の四つの視点に基づく取り組みを重点プロジェクトに設定した。

【呼び込む】

空き家の利活用対策として、定住支援員が常駐する空き家総合相談拠点の開設に1287万9000円を計上。打田、粉河エリアでの空き家を活用したエリアリノベーションの推進には5350万円を確保する。

【稼ぐ】

持続可能な農業経営に向けた支援を図り、認定農業者らの農業用機械などの購入支援を大幅に拡充。従来の機械の他、設備やスマート農業機械も補助対象に追加し、補助上限も従来の8万円から30万円に大きく引き上げる。事業費は1800万円。

国が進める「みどりの食料システム戦略」を踏まえ、有機農業に地域ぐるみで取り組む産地(オーガニックビレッジ)づくりを推進。関係機関と共に市の具体的な取り組みを検討する「有機農業推進協議会」を新たに設置する。

【育む】

妊娠・出産した人を対象に、国の支援による出産応援給付金、子育て応援給付金(計10万円)とは別に、市独自の制度として「赤ちゃん応援給付金」10万円を給付する事業に2990万円を計上。
外出中におむつ替えや授乳などに立ち寄ることができる施設を「赤ちゃんの駅」に指定し、市役所の本庁と南別館、生涯学習センター、市民体育館、図書館など市内17カ所に設置する。23年度は公共施設を中心に指定する予定で、年度半ばまでに設置場所の一覧を公表する。

【未来をつくる】

消防団員の担い手を確保し、安定的な活動を維持するため、「消防団応援の店」制度を創設する事業に210万6000円を計上。団員と家族が来店時に独自のサービスが受けられる制度で、登録した店舗には初年度2万円、2年目以降は1万円が協力金として交付される。

また、災害の激甚化・頻発化などに伴い、団員の処遇改善の一環として、副分団長までの役職ごとに年間報酬額を引き上げる。