近大で災害対応訓練 震度6強の直下型想定

東日本大震災の発生から12年を迎えるのを前に25日、和歌山県紀の川市西三谷の近畿大学生物理工学部で災害対応訓練が行われた。県警や那賀消防組合など協力のもと、学生消防団や教職員ら約50人が参加。放水訓練や救出救助訓練などで、災害時にとるべき行動を確認した。

キャンパスには中央構造線断層帯の一部である根来断層・桜池断層・五条谷断層が通ることから、これまで同学部では学生・教職員を対象に危機回避のための初動行動や避難訓練を実施。災害対応に取り組んできた。

今回は中央構造線断層帯で直下型地震が発生し、震度6強の強い揺れが約10秒間続き、建物内で火災が発生するとともに、車両内での要救助者発生を想定して行われた。

地震の発生後、同市危機管理消防課によるドローンを用いた被災情報を収集。同大学生消防団員と同課、同市消防団本部女性分団による放水を行った。

中消防署救助隊が被災車両内から要救助者を救出。県警航空隊員らがヘリコプターを使用したホイスト救助訓練で消防救助隊員を搬送した。

訓練を終えて、那賀消防組合中消防署の小西隆文署長が学生消防団と女性分団に対して「迅速で活気のある素晴らしい訓練だった。日頃の訓練の成果だと思う」と講評。古薗勉学部長は「本日の訓練で多くの県民を救うことができると確信した。災害が起きた場合の広域拠点として、岩出、紀の川地区の防災の大きなとりでとなる」とあいさつした。

同大学消防団員として参加した遺伝子工学科1年の渕野叶愛さん(19)は「救急救命講習の内容を自分の身に付けて、私生活でいざというときに役立ちたい」と話した。

同市在住で市消防団本部女性分団に所属し、将来は医療従事者として救急現場で働きたいという関西医療大学保健看護学部2年の西浦理奈さん(20)は、学生のうちから訓練に参加することで、住民側からの視点も学べるとし、「分団には若い世代がいないので、私と同じ世代が活動に参加してくれるとうれしい」と話していた。

中消防署救助隊が要救助者を搬送

中消防署救助隊が要救助者を搬送