海を守りたい 児童が手作り絵本読み聞かせ
和歌山市六十谷の有功東小学校3年生風組は、総合的な学習の時間を活用して1年間、魚や海洋ごみなど海の環境問題について学んだ。その成果を絵本にまとめ、読み聞かせをする活動をしている。
児童は、1年を通じて「和歌山の海と魚」をテーマに学習。魚のことを知ろうと地元の鮮魚店や中央卸売市場を訪問した他、和歌浦や雑賀崎で地引網や釣りを体験した。一方で、地元の漁師や県農業水産振興課の職員からは、漁に携わる人が減少傾向にあること、人間が出すごみが原因で海の環境が変化していることなどを教わった。
児童らは「海を守るために、自分たちにできることはないか」と思案。現状をたくさんの人に知ってもらいたいと、クラス全員28人がそれぞれ絵本にまとめることを決めた。
絵本の内容は、海洋ごみについて問題提起したものから、魚のたくさんいる海の素晴らしさを説くものまでさまざま。どれも分かりやすく物語が展開する。中には参加型のクイズ絵本を作った児童もいる。
読み聞かせの目標人数は525人。2月中旬から始め、学校や地域の子ども園で読み聞かせをしている。
8日は、同校の1年生に向けて児童7人が自作の絵本を披露。
「魚の気持ちになって書いた」という、林里桜(りお)さん(9)の絵本は「おさかなくんとおさかなちゃん」。おさかなくんが人間の捨てたごみを食べ物と間違って食べてしまい、おなかが痛くなるというストーリー。読み聞かせの最後には、「もし(ごみを)捨てていたらこれからはやめましょうね。おいしいお魚が食べられなくなるかもしれませんよ」と呼び掛けた。
読み聞かせに参加した1年生は「すごく面白かった」、「楽しい勉強になった」と笑顔。
読み聞かせを披露した樺澤杏さん(9)は「自分自身、海の問題を考えるきっかけになった」とし、「ごみのせいで魚が減っていることを知ってもらいたいので、もっとたくさんの人に絵本を聞いてほしい」と話していた。