水に浮く津波避難タワー 防災企画が開発

南海トラフを震源とする巨大地震などによる津波発生時、迅速な避難ができるようにと、㈱防災企画(和歌山市北島、田中和雄社長)は、「津波避難 鋼管支柱タワー」を開発した。水位によって避難スペースが上下する浮体式タワー。同社では「いつ来てもおかしくない巨大地震や大津波に備えてほしい」としている。

タワーは、長さ15㍍、太さ1・5㍍の鋼管支柱を中心に、直径15㍍、高さ2㍍の円形避難スペースを取り付けたもの。約100人を収容できる。

タワーは、平常時は地中に支柱を埋め込み、避難スペースは地面と同じ高さにあるが、津波や水害が発生した際には、水位によって避難スペースが浮力で上下する構造。同社によると、円筒構造により、立方体と比較すると、漂流物の衝撃を77%カットできることが実験で分かっているという。

同社では、津波到達までに安全な場所まで避難が困難な津波避難困難地域などに、避難タワーを設置しておくことで災害時には高台の役割を果たせるとしている。

従来の津波避難タワーと比べ、設計、施工、工事を含め約1500万円と比較的安価で、約10日間という短期間で造ることができるのが特長。

開発した田中社長(86)は、兵庫県の高校で土木工学を学び、1955年に大手設計会社に入社。元住友金属の岸壁工事の設計管理を20年にわたって担当するなど、数々の設計に携わってきた。そこで得た知識と経験で、人のためになることがしたいと1995年に同社を立ち上げ、災害から一人でも多くの命を救うため、開発を続けてきた。同社では今後、県内外沿岸地域の自治体などに向けてPRを図るという。

問い合わせは同社(℡073・452・3571)。

 

開発した津波避難タワーの模型で説明する田中社長