地域の足、貴志川線守りたい 大西清悟さん

4日に貴志川沿線で行われるイベント「みどりの風」の特別企画として、たま電車内を植物で彩るのは和歌山県紀の川市の大西清悟さん(36)。幼い頃から貴志川線を利用してきた大西さんは、今回の取り組みに特別な思いを寄せる。

祖父が創業した大西農園種苗場(同市桃山町調月)内にある「Rat Garden(ラットガーデン)」で、庭づくりや植物を用いた空間装飾を提案する。

貴志川線には愛着を感じてきたが、3カ月ほど前、その必要性を強く感じる出来事があった。一定期間、車に乗れない状況が生じ、電車を利用して和歌山市へ出かける日々が続いた。

沿線住民にとって、電車はなくてはならない移動手段であると改めて実感。車窓に広がる緑の森や池、田園風景など、電車だからこそ、ゆったりと味わえる魅力にも、あらためて気付いた。

少子高齢化による通勤・通学客の減少、コロナの影響でインバウンド(外国人旅行者)が激減している和歌山電鐵の現状に、「あって当たり前」だった貴志川線が、なくなってしまうかもしれない危機感を覚えた。

何か地域に貢献したいと感じる中、実行委のメンバーからイベントの話を聞き、「自分が力になれるのは植物しかない」と、車内を緑で飾らせてもらえないかと提案。「僕と同じように、この電車は地域に必要だと思ってくれる人が一人でも増えれば」と、当日に向けアイデアを練ってきた。

人の心を癒やしたり、温かい気持ちにしたりする植物の力を、日々感じているという大西さん。「子どもたちやお年寄りが、電車に乗ることで会話が生まれたり、そこにある花や植物に興味を持ってもらえれば」と話す。

「電車に乗った時から、このイベントは始まっているんです。車内に僕の植物を置くことで、少しでもハッピーな気持ちになったり、家族での外出やデートがより楽しくなったりすれば、それ以上うれしいことはないですね」

「貴志川線を盛り上げたい」と大西さん

「貴志川線を盛り上げたい」と大西さん