県警機動隊の新庁舎 和歌山市冬野に完成

「治安の最後のとりで」と呼ばれ、爆発物処理やテロ対策などの危険な任務に従事する和歌山県警機動隊(森田清幹隊長、34人)の新庁舎が和歌山市冬野に完成し、5月29日に落成式が行われた。旧庁舎に比べ約2倍の広さで、日々の訓練、出動ともにしやすい施設となり、県民の安心・安全への一層の貢献が期待される。

1970年に完成した旧庁舎(同市木ノ本)が老朽化し、施設も手狭だったことから移転が決定。新庁舎は2021年1月から23年2月にかけて建設工事が行われ、ことし3月2日から、すでに業務を開始している。

新庁舎の総工費は約13億円、敷地面積は1万6756平方㍍。以前の施設に比べ、鉄筋コンクリート造り3階建ての庁舎は2・3倍、鉄骨造りの車庫・倉庫は2・1倍の広さとなり、高さ11㍍のレンジャー訓練塔2棟、グラウンドなども備えている。

訓練風景が周囲から見えない施設配置になっており、周辺への配慮として、訓練音を低減する防音パネルを敷地の境界沿いに設置。車庫・倉庫前に広いスペースを確保することで、装備の準備や緊急出動がしやすいなど、さまざまな工夫がなされている。

阪和自動車道・和歌山南スマートインターチェンジから約3㌔の立地で、出動時の交通アクセスも便利になった。

落成式には県警関係者や来賓ら約30人が出席し、山﨑洋平県警本部長は「決意新たに治安維持にまい進する」と式辞。岸本周平知事は、雑賀崎漁港での岸田首相襲撃事件やG7広島サミットへの機動隊出動にふれ、「危険な最前線の任務で活躍する機動隊に重ね重ねお礼申し上げる。引き続き新庁舎から県民の命と暮らしを守っていただきたい」と述べた。

式典後、施設の一部が公開され、出席者は隊員の案内で、爆発物処理の車両や防護服、盾などの装備品、屋外訓練施設などを見学した。

森田隊長は「隊員一同、新庁舎で働けることに喜びと誇りを感じている。『治安の最後のとりで』として、県民の信頼にこれまで以上に応えていきたい」と決意を話した。

公開された訓練塔や特殊車両、装備品

公開された訓練塔や特殊車両、装備品