激甚災害の指定目指す 台風2号の豪雨被害
台風2号に伴う2~3日の豪雨被害の復旧に向けた動きが本格化している。6月定例県議会には20日、災害復旧事業を盛り込んだ140億5100万円の一般会計補正予算案が追加提案され、一般質問では岸本周平知事が、局地激甚災害の早期指定を目指すことを表明。被災した公共土木施設の復旧に対し助言・指導を行う国土交通省の災害査定官も同日、県内入りした。
同日までに把握されている県内の被害は、人的被害が死亡2人、行方不明1人。住宅被害は海南市や有田市を中心に6市12町で全半壊15棟、床下・床上浸水2839棟。農林水産被害は約72億5000万円、河川や道路など公共土木施設の被害は約90億円となっている。
この日、最も被害が大きい海南市・海草郡選出の尾崎要二県議が最初に一般質問を行い、局地激甚災害の指定を目指すべきことや、紀美野町や紀の川市の真国川など、浸水想定がハザードマップで示されていない河川の氾濫があった問題などを指摘した。
岸本知事は、公共土木施設や農林水産業に関する災害復旧事業の推進にあたり、「被災市町と連携しながら、早急に被害状況等の把握を行い、激甚災害の早期指定と迅速な事業執行に最大限の努力をしていく」と答弁。福本仁志県土整備部長は、局地激甚災害の指定には、各市町村の標準税収入に対する災害査定事業費の割合などの基準があることから、早期に査定事業費を確定させ、極力指定されるよう国に働きかけていくとした。
浸水想定が示されていない河川について福本部長は、県が洪水浸水想定区域図を公表してきたのは洪水予報河川や水位周知河川など22河川であり、水防法改正に伴い、真国川など428河川について2021年度から作成に着手し、22年度末までに作成を終えたと説明。今後、23年度までに段階的に公表と関係市町村への通知を行い、各市町村がハザードマップを作成すると答弁した。
尾崎議員は、海南市に災害救助法が適用され、住宅の応急修理や障害物の除去などの費用が国と県の負担になることを歓迎した一方、紀美野町などの住民から同法が適用されないことへの疑問や不満の声が上がっていると紹介。現行法は、人口規模が小さい自治体の適用基準がより厳しくなっており問題だと指摘し、県から国への働きかけを要望した。
今西宏行福祉保健部長は、同法が適用されない紀美野町や九度山町で全壊、大規模半壊などの被害を受けた住民に対し、「住宅の再建や補修などに対する給付ができるよう、海南市を含め、被災者生活再建支援法の適用を進めていく」と述べた。
補正予算案の内訳は、道路、河川などの土木施設の復旧や修繕に139億5000万円、県立学校の校舎など学校教育施設の復旧に4950万円、文化財などの復旧に2700万円、住居が全壊するなどした被災者に災害救護資金の貸し付けを行う市町村への支援に2500万円となっている。
国交省の大西民男災害査定官は20日午後から災害緊急調査を開始。亀の川が氾濫した和歌山市の紀三井寺団地や海南市且来などを訪れ、県の担当者から説明を受けながら、崩れた護岸などを視察。「地元の方も心配されていると思うので、県はできるだけ早く災害査定を受けて、復旧を進めてもらえたらと思う」と話した。21日は紀の川市鞆渕地区、高野町などを訪れる。