魔はらう音色響く 和歌浦天満宮に風鈴100個

台風2号による大雨の影響を受けた被災者や亡くなった人の鎮魂と、自然災害の「魔」をはらおうと、和歌浦天満宮(和歌山市和歌浦西)で夏至の21日、回廊に鉄製の風鈴100個がつるされ、小板政規禰宜(50)が大祓詞(おおはらえことば)を海に向かって奏上し、祓(はらえ)を行った。

同天満宮によると、風鈴は古くから魔よけの一つとして知られ、「音色が聞こえている所は難を逃れる」とされる。同天満宮では昨夏初めて、コロナ禍の邪気をはらおうと、「コロナ74(なし)」と願いを込めて74個の風鈴をつるした。

ことしは、『古事記』でイザナギの大神(みこと)が悪霊をはらうために「桃」を用いたことから、「百(もも)」にかけて100個の風鈴を用意。風鈴には「悪霊退散」や「地域繁栄」、「無病息災」、「夫婦円満」などの願いをしたためた短冊がつるされている。

この日の祓では、境内にある桃の木の枝を使用。この木は10年ほど前に「魔を避け、平穏安泰」の願いを込めて同天満宮に奉納された苗が成長したものだといい、小板禰宜が長さ1・4㍍の桃の枝を手に、祓を行った。

和歌浦湾からの風によって風鈴が涼やかな音を響かせ、「魔」から逃れられるようにとの願いを込め、風鈴は秋風がそよぐ頃までつるしておくという。小板禰宜は「祈ることしかできないので、自然災害が起きたら早めに情報をキャッチして早めに避難してもらいたい」と話した。

 

回廊に風鈴を取り付けていく小板禰宜