南高梅を使った「本格梅酒」
前号より、和歌山県が誇る「南高梅」を取り上げている。今週は梅酒について紹介したい。
梅酒は青梅をホワイトリカーなどの蒸留酒に漬け込む混成酒。作り方は簡単。梅1㌔㌘に対し氷砂糖などの糖類を800㌘、ホワイトリカーを1・8㍑程度用意する。まず、梅の実についているヘタを竹串で取り、水洗いした後、布巾で水気を拭き取る。次に熱湯殺菌した保存瓶に、梅と氷砂糖を交互に入れる。続いてホワイトリカーを注げば漬け込みは完了。ふたをして冷暗所で保存する。次第に無色であったホワイトリカーが琥珀色に変わり、漬け込みから概ね3カ月程度で梅酒が完成。
若い世代の酒離れが進む中、10年程前の梅酒ブームを契機に、梅酒は生産量を大きく伸ばしている。統計によると2002年は約2000万㍑であったが、2011年には約3900㍑と約2倍に。
しかし、梅酒に使用される青梅の出荷は、約5900㌧から約6400㌧と微増であり梅酒の生産量と比例しない状況。これは酸味料や香料などを使うことで、梅の量が少ない梅酒が増加したことを意味している。
そこで、和歌山県は梅の需要を拡大しようと、政府に梅酒の表示区分けを要請。2015年に日本洋酒酒造組合が、従来の梅と糖類、アルコールのみを原料とする梅酒を「本格梅酒」と称する自主基準を制定。消費者にとって分かりやすい表示が行われるようになった。
梅酒ブームを受け、田辺市では地域で収穫される梅を原料とした梅酒や梅ジュースを乾杯に使用することを奨励する条例を2013年に制定。10周年を迎えることし、梅酒ツーリズム事業として、市内に梅酒を楽しめるテラスを設けるなどの施策を展開するという。
訪れた人に梅酒の味わいを感じ、地域の魅力にふれてもらう絶好の機会。県産の梅を使った産業のさらなる振興を期待したい。
(次田尚弘/和歌山市)