支えられ、大好きな町で 粉河産土神社の蒲宮司
2日間にわたって粉河産土神社の祭礼、粉河祭が催行され、4月に就任したばかりの同神社の蒲梓宮司(34)は、祭りに関係する一連の神事や式典を担い、大役を務め上げた。
各座・講をはじめ、各町のだんじり運行の祈祷(きとう)などで多忙なスケジュールの中「とにかく楽しかったです」と笑顔で2日間を終えた。
同神社では初の女性宮司。生まれも育ちも粉河。大学生だった19歳の時、頼まれて正月に巫女(みこ)のアルバイトをしたことが神社との接点となった。
当時は飛行機の客室乗務員に憧れ、この道に進む気はなかったが、大学で文化を学びながら、地域の人との交流が多い神社の仕事にやりがいや魅力を感じるようになった。
二十代半ばで禰宜となり、宮司をそばで支えてきた。高齢になった先代から引退の意向を聞き、継いでほしいと頼まれたものの、結婚・出産を経て、子どもがまだ小さいことから不安も大きかった。
そんな中、背中を押したのは総代ら役員からの「僕たちが支えるから」という言葉。一念発起して学び、宮司になるための資格を取得した。
「とにかく粉河のまちの人たちが大好きなんです」。神社に集まる人たちには、時には弟や妹、祖父母のように接し、神社の役員も、大きな家族のように感じているという。
小学生の頃、毎年のように石町のだんじりに乗っていた。伝統の祭りを無事に催行できるよう、だんじりの安全運行への思いは強い。愛着のある祭りがこれからも末永く続くよう、神職としても役目を果たしていきたいと感じている。
最近は「いろんな世代の人に足を運んでもらえる神社に」と、さまざまなイベントを企画。大好きなこのまちの人たちと共に神社も歩んでいきたいとの思いを一層強くしている。