中学3教科とも課題 全国学力テスト県内結果

和歌山県教委は7月31日、小学6年生と中学3年生を対象にした、2023年度全国学力・学習状況調査の県内結果を発表した。平均正答率は、小学校では2016年度に全国最下位だった国語が初めて全国を上回り、算数も全国平均並み。一方、中学校は全ての教科で全国を下回る結果となった。特に国語は根拠を明確にして書いたり考えたりすること、数学では事象を数学的に解釈し、問題解決の方法を説明すること、英語は文と文との関係を正確に読み取ることなどの課題が目立った。

全国学力テストは4月に実施され、県内の小学校は225校の約6840人、中学校は115校の約6380人が受けた。「教科に関する調査」では、国語と算数・数学に加え、4年ぶりに中学英語が調査対象となった。

県内公立校の小学国語は68%(全国67%)で全国12位、算数は63%(63%)で過去最高順位の10位となった。中学国語は67%(70%)で43位、数学は50%(51%)で22位、英語は44%(46%)で20位。

テストの他、全72項目の質問紙調査の結果も発表され、「自分には、よいところがあると思いますか」について、「当てはまる」「どちらかといえば、当てはまる」と答えた割合が小中学校ともに全国平均を上回り、自己有用感において改善が見られた。

義務教育課の大堀和美課長は「小学校は一定成果が出たが、中学校はまだ取り組みが浸透していないところもあり、ずっと危機感を持っている」とした上で、「小学校で課題を残したまま中学校へ行かないよう、小中連携を進め、互いの授業を学んだ上で授業づくりができるように計画的に取り組んでいきたい」などと話した。

課題解決としては、昨年度から始めた中学教員の研修に重点を置き、授業改善による授業力の向上を目指す。研修では、地方ごとに数人の教員に授業づくりをしてもらい、エリア周辺の教員が授業風景を見学し、意見交換を行う。本年度は数学(昨年度は国語、来年度は英語)の教員が対象となり、年5回(うち2回は全教員が参加)の研修を予定している。

また、昨年度同様、学力向上プログラムの「県学習到達度調査」を年2回(4、12月)に増やし、定着状況を継続的かつ丁寧に把握していくという。