一人ひとりが命を守る 防災の日機に備えを

防災対策の基本を確認

 

大地震や風水害はいつ襲ってくるか分からない(2018年9月、和歌山市内)

大地震や風水害はいつ襲ってくるか分からない(2018年9月、和歌山市内)

 

一人ひとりが命を守る

台風や土砂災害、巨大地震などの自然災害は、いつ襲ってくるか分からない。6月には梅雨前線と台風2号に伴う豪雨により、県内各地で河川の氾濫や土砂災害が相次ぎ、8月15日には台風7号が紀伊半島に上陸し、近畿を縦断しながら広域に被害をもたらした。9月1日「防災の日」を前に、災害から命を守るために大切になる一人ひとりの防災対策の基本を確認したい。

災害に備え、発生した場合の被害をできるだけ小さくするためには、「自助」「共助」「公助」の三つが重要といわれる。

身近な人や地域で助け合う「共助」、国や市町村による「公助」の大切さは当然だが、一人ひとりが自らの命を自分で守る「自助」の意識を持ち、発災時の危機をまず乗り越えることが必要。普段から、家の安全対策や身の安全の守り方などを知っておきたい。

■地震から身を守る

和歌山市ホームページから「地震から身を守るための10か条」を紹介する。

①まず身の安全を=倒れやすい戸棚や本棚からすぐ離れ、丈夫なテーブルや机の下に身を隠す。

②素早く火の始末=ガスこんろやストーブなどの火を止める。ただし、やけどには注意。

③戸を開けて出口を確保=特にマンションなどでは重要。逃げ道を失ったら避難ができない。

④火が出たらすぐ消火=火災が発生しても慌てずに消火に努める。消火用具の備えは忘れずに。

⑤外へ逃げるときは慌てずに=落ち着いた行動をとる。逃げるときは瓦やガラス、看板などの落下に注意。

⑥狭い道やブロック塀には近づかない=ブロック塀や門柱、自動販売機などは倒れやすいので要注意。

⑦山崩れ、がけ崩れ、津波には注意=津波警報が発表されたら、高い場所に逃げる。

⑧避難は徒歩で=決められた場所へできるだけ集団で避難する。

⑨協力し合って応急救護=多数の負傷者が出れば、地域ぐるみで応急救護。

⑩正しい情報を聞く=うわさやデマにとらわれず、ラジオやテレビなどで正しい情報を。

 

■家の中の安全対策

過去の大地震の被害事例から、大地震発生時には、「家具は必ず倒れる」と考えて対策を講じることが重要といえる。

家具は金具やストッパーなどを使って固定し、転倒防止対策をとるとともに、もし倒れてもけがをしたり、出入り口をふさいだりすることがないよう、向きや配置の工夫も大切。食器棚などの開き戸には留め金をかけ、ガラスには飛散防止フィルムを張り、本棚にはひもやベルトなどを取り付けて本が飛び出すのを防ぐなど、対策のポイントはそれぞれ異なるので注意する。

また、停電で暗闇を歩く場合に必要な懐中電灯、ガラスの破片などから足を守るスリッパ、建物や家具の下敷きになった場合に救助を求めるのに役立つホイッスル(笛)を、手の届くところに備えておくといい。

 

■風水害の注意点

台風などが引き起こす風水害については、気象庁が数日前から「早期注意情報」や「気象情報」を出し、危険度の高まりに応じて「注意報」、「警報」、「特別警報」を段階的に発表する。自治体は、ハザードマップなどに基づき、危険な区域の住民に高齢者等避難、避難指示などの発令を行う。

こうした情報を随時チェックし、早めに避難などの行動をとることが大切。気象庁は、どこで危険度が高まっているかをウェブ上の地図でリアルタイムに色分けして示す「キキクル(大雨・洪水警報の危険度分布)」も提供しており、災害の危険が予想される場合に活用したい。

風雨が強くなる前にしておく備えとして、家の窓や雨戸を閉め、必要に応じて補強をする他、側溝や排水溝を掃除して水はけをよくしておくこと、庭木やプロパンガスなどが飛ばないように固定すること、自動車のガソリンを満タンにしておくことなどが挙げられる。

平時には、ハザードマップで地元の危険個所を確認しておくことが重要だが、過信は禁物。マップ上で危険区域になっていなくても、「うちは大丈夫」と甘く考えないようにし、備えておきたい。

持ち出し品をチェック

大災害発生時は、電気や水道、ガス、通信などのライフラインが止まる可能性がある。その場合でも自力で生活できるよう、飲料水や非常食などを備蓄しておくことが大事。また、自宅が危険な場合に備え、避難所生活に必要なものをすぐに持ち出せるよう、「非常用持ち出し袋」に詰めておく。

備蓄品の例では、飲料水は1人一日3㍑を目安に、最低3日分。食料も、ご飯(アルファ米など1人5食分)をはじめビスケット、板チョコ、乾パンなど1人最低3日分を用意しておきたい。

飲料水とは別に、物を洗ったり、トイレを流したりするための水も必要になるため、水道水を入れたポリタンクを用意しておくか、風呂に水をためておくなどの備えも重要。下着、衣類、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、マッチ、ろうそく、カセットこんろなども備蓄しておく。

非常持ち出し袋に入れておきたい品は、飲料水や食料、貴重品(預金通帳、現金、健康保険証など)、携帯ラジオ、予備電池、使い捨てカイロ、洗面用具などさまざまある。感染症対策にも有効なマスクや消毒用アルコールなどの衛生用品も必要。乳児のいる家庭は、ミルクや紙おむつ、ほ乳びんなど、女性の備えとして、生理用品やサニタリーショーツ、中身の見えないごみ袋など、高齢者のいる家庭では、大人用紙パンツ、入れ歯と洗浄剤、つえなども重要になる。

持ち出し品をはじめ、災害時に備えておきたいもののチェックリスト(別掲)を政府がまとめているので、確認しながら用意しておこう。

家族が別々の場所にいる時に災害が発生した場合に備え、日頃から安否確認の方法や集合場所などを家族で話し合っておくことも大切。

災害時は携帯電話がつながりにくくなるため、「災害用伝言ダイヤル(171)」、携帯電話のインターネットサービスを利用した「災害用伝言板」などのサービスを利用する。

防災週間(8月30日~9月5日)の期間中は、これらのサービスの体験利用ができるので、一度使っておきたい。