想像を超える被害 緊急消防援助隊が帰庁
1日に発生した能登半島地震を受け、同日夜から石川県に派遣されていた和歌山県からの第1次派遣隊の和歌山市消防局の47人が5日に帰庁し、同隊の黒田滋之大隊長(53)が尾花正啓市長に隊員の無事を報告。「被災地は想像を超える被害。特に道路の被害がひどく消防車両が入れない状況だった」と振り返った。
県からの第1次派遣隊は、県内17消防局・消防本部からなる41隊142人。2日午前7時20分ごろに活動拠点となる石川県金沢市の金沢競馬場に到着。その後、能登半島先端付近の能登町や珠洲市、輪島市などで、消防ヘリコプターで孤立集落から要救助者を金沢市内の病院へ、救急車両で病院間の搬送を行った。
黒田大隊長によると、活動したのは主に漁村で木造の民家が密集している地域。家屋の8~9割が損壊しており、その半分は全壊の状態。道路は、至る所で亀裂や20~30㌢の隆起、土砂崩れが起きており、車両が通れない状態だったという。
3、4日は道路状況や孤立集落などを確認するため現地踏査を実施し、5日午前0時ごろ、第2次派遣隊に引き継ぎ、帰庁した。
黒田大隊長は「被災地では立ち尽くしている人が多かった。建物に人が取り残され、安否が分からない家族もいる状態だが、助けが届かない。早く何とかしてあげたかった」と声を詰まらせた。
第1次派遣隊の任務は活動拠点の整備で、現地踏査や状況を把握し、第2、3次派遣隊に引き継ぐ。黒田大隊長は「軽車両は、きょうから現地に持っていくことができる状態になった。人員を最前線に導入して陸路から活動が実施できる。2次派遣隊に期待している」と話した。
黒田大隊長の報告を受け、尾花市長は「危険な中、人命救出に尽力してくれ感謝する。皆さまの力で一日も早い救助救援を祈念している。お疲れさまでした」と話した。
第2次派遣隊は8日までの活動を予定している。