花王和歌山工場「緑の殿堂」に SEGES認定

敷地内に広大な防潮林などの緑地を持つ花王和歌山工場(和歌山市湊、坂本透工場長)は、長期にわたり緑地の保全活動や地域の子どもを交えた環境学習などに取り組んでいる。緑を通じて継続的に取り組んできた社会・環境貢献活動が評価され、公益財団法人都市緑化機構が運営する、社会や環境に貢献している企業の緑地事業の評価システム「SEGES(シージェス)」の最高ランク「緑の殿堂」に認定された。

防潮林は1644年に造られた。同工場の緑地面積は11万4398平方㍍と工場敷地面積の約21%を占め、そのうち防潮林は7万8342平方㍍。約1・1㌔におよび、幅は約30~135㍍。江戸初期に造成された県指定史跡のクロマツ林約4000本など、約7000本の木がある。

約20種の野鳥も生息。中には約1・5㌔のウオーキングコースも設置されている。防潮林の他、工場の外側にはツバキなどが植わり、桜並木もある。

同工場は緑地の維持のため専門家の意見を取り入れ、害虫の防除や植樹、草刈りなどを長期にわたって実施。地域の子どもたちを交えた自然観察会なども開いてきた。

SEGESは、企業などによって創出された良好な緑地と日頃の活動、取り組みが、地球温暖化やヒートアイランド現象の緩和、地域生態系の保全、地域社会とのコミュニティー醸成などに貢献していることを、第三者審議会が評価し、都市緑地機構が認定するもの。

認定ランクは5段階あり、同工場は2005年に1段階目の「そだてる森」部門で認定を獲得。18年かけて今回、殿堂入りを果たした。現在、緑の殿堂の認定団体は全国で10件。県内企業としては初の殿堂入りとなった。

県が県内の森林保全活動を呼びかける「企業の森」事業における、紀美野町内2カ所の山林での活動も評価された。

同工場地区サービスセンターの飯塚直樹環境課長(56)は、「保全活動が評価されてうれしい。今後は、新型コロナの影響などで中止していた地域の子どもとの環境学習なども積極的に開き、継続したい」と話している。

「緑の殿堂」認定証を手に飯塚環境課長

「緑の殿堂」認定証を手に飯塚環境課長