外国人が働きやすい職場を 勉強会に知事

外国人就労者に関わる和歌山県内企業や団体が集まり、働きやすい職場や地域環境づくりに向けて課題を持ち寄り話し合う、和歌山県外国人受入勉強会、通称「ワグベン」(WAGUBEN)に20日、岸本周平知事が出席。県が進めている取り組みについて話した。

同会は5年前から月に1度、和歌山市内で勉強会を開き、企業の他、公益社団法人県国際交流協会、県経営者協会などの団体や、県労働政策課の職員などおよそ40団体が参加している。

会の冒頭で、会計事務所を営むワグベンの水城実事務局長は「人口減少を迎えた日本で外国人就労者の受け入れは必須。きょうは立場を超えて意見交換し、知恵を出し合っていきたい」とあいさつ。

同会会長で協和プレス工業㈱(紀の川市長田中)の野村壮吾社長は「外国人の受け入れについて県がどう考えているのか、ぶつかることがあるかもしれないが忌憚(きたん)のないディスカッションをしたい」と熱意を見せた。

岸本知事は「県は外国人の受け入れを積極的にやろうと、かじを切っている。ただ10年遅いと思う。なぜ10年前からやっていないのか理解不能」と話し、現在進めている取り組みについて説明。外国人材が安定的に雇用される受け入れ態勢(プラットフォーム)を構築するための、企業助成事業、ジョブフェア、サポートデスクなど各種支援策を紹介した。

また、在住外国人の約4割は、日常生活で必要な日本語が話せないという現状であることから、県は2024年度から外国人労働者を対象に無償の日本語教室を実施すると発表。この取り組みについて外国人を受け入れている複数の企業から「家族が日本になじめず優秀な人材が辞めてしまうケースがある」という声が上がり、「子どもや妻が日本語を話せないため地域、学校になじめないケースがある。家族への日本語教育支援も必要」との問題提起があった。

岸本知事はメモを取りながら話を聞き「働く人のための日本語学習で、家族は視野に入れていなかったが今後考えたい。まずはチャレンジし、いろいろな要望を聞きながら少しずつ変えていくと、そのうち何がベストか見えてくると思う」と答え、「給料が安くしかも円安で、もう日本は外国人にとって魅力的なマーケットではない。しかし正社員として人権を認めて仲間として受け入れる企業には来る人がいると思う。そういう職場を応援していきたい」と参加者を激励した。

県の取り組みを説明する岸本知事

県の取り組みを説明する岸本知事