韓国に沙也可の足跡伝える韓日友好館オープン

 紀北地域で活躍した戦国時代の鉄砲集団・雑賀衆ゆかりの人物との説がある沙也可(さやか)の足跡などを紹介する施設 「達城(たるそん)韓日友好館」 が、 韓国の大邱(てぐ)広域市達城郡に完成する。 県と和歌山市は展示物を提供し、 5月3日のオープニングセレモニーには大橋建一市長をはじめ同市代表団が出席する。

 沙也可は、 豊臣秀吉による朝鮮出兵で加藤清正の配下として出陣したが、 朝鮮側に投降し、 火縄銃の技術を伝えて日本軍と戦った。 その功績により朝鮮王から金忠善(きむちゅんそん)の名を賜ったとされ、 韓国では英雄視されている。 達城郡は沙也可の末裔(まつえい)が数多く暮らしている。

 市観光課などによると、 同館は沙也可の足跡をたどりながら韓国の歴史や地域の紹介を行うとともに、 日韓の相互理解と友好を深める目的で建設された。

 延床面積943平方㍍の施設の2階部分は、 和歌山を中心に日本文化の紹介を行うコーナーとなる。 同市からは大谷古墳出土の馬冑(うまかぶと)の複製、 徳川吉宗が描いた馬の絵の複製、 和歌山城西の丸の図、 天守閣の写真、 雛人形一式、 観光紹介パネルなどを提供する。

 大橋市長ら代表団は5月1~4日の日程で訪韓し、 セレモニー出席の他、 現地のメディアや旅行会社などに和歌山の観光PRを行う。

 代表団に加え、 大邱広域市との文化交流を進めてきた 「雑賀衆・沙也可で街おこしの会」 (辻健会長)をはじめ、 民間の訪問団もセレモニーに出席する。

 辻会長は 「友好館が完成すれば、 韓国から和歌山市を訪れる観光客も増える。 受け入れ体制を早く整備したい」 と話しており、 沙也可ゆかりの地のマップ作成や韓国語が話せる語り部の養成などを計画している。