21日~県内初個展 加賀蒔絵の前端春斉さん

県内初の個展を21日から和歌山市で開く加賀蒔絵(まきえ)師・前端春斉(まえはた・しゅんさい)さん(47)=石川県加賀市=が16日、 和歌山市福町の㈱和歌山新報社を訪れ、 個展や漆工への思いを語った。

三代目である春斉さんは、 加賀塗の名門に生まれ、 蒔絵一筋に研さんを続けて30年。 塗師である父・雅峯さんと共に建長寺の創建七百五十年修復事業で重要文化財の漆工部門を担当し、 米国の美術館での蒔絵公開実演や講演など幅広く活躍している。

工房開業百周年記念となる同展の見どころについて春斉さんは、 「加賀蒔絵ならではの華やかな意匠と、 珍しい 『陶漆』。 また、 10代紀州藩主徳川治宝ゆかりの 『南紀徳川家伝来・棗香合箪笥 (なつめこうごうだんす)』 を写した棗と香合など、 父の賛助出品もあります」 と話す。

陶漆とは、 木ではなく素焼きの陶器を素地とし、 生漆を吸い込ませ焼き付ける技法で、 古来あったが幕末で途絶えていたという。

前端さんは、 「いにしえの作品に感銘を受け、 古典を学び続けています。 1000年以上たった文様の感性のすごさなど、 古典は奥深い」 とし、 「お茶に造詣が深い和歌山の方々に見ていただけることは光栄です。 今後の糧になりますよう、 厳しく温かいご批評を頂きたい」 と話している。

出品されるのは、 棗や香合、 水指、 炉縁、 茶碗など八十数点。 華やかな金蒔絵の他、 鳥獣戯画を影絵風に研ぎ出した銀蒔絵の大棗などもある。

会場は同市湊通丁北のホテルアバローム紀の国ギャラリー龍門で25日まで。 午前10時から午後5時(最終日は4時)。 会期中は呈茶席も設けられる。 問い合わせは同ホテル(℡073・436・1200)。

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