「夢を生きる」女性を応援 SI和歌山

女性の地位向上などに取り組む奉仕団体「国際ソロプチミスト(SI)アメリカ連盟」による、教育や技術の向上に励む女性を支援する取り組みで、「夢を生きる:女性のための教育・訓練賞」の日本中央リジョン賞に和歌山市医師会看護専門学校2年の中尾由布さん(39)が選ばれたのをはじめ、SI和歌山(嶋田一代会長)が推薦した2人の女性が受賞した。

「夢を生きる:女性のための教育・訓練賞」は、家族の経済的な扶養責任を負いながら、専門学校や大学の学部課程などに在籍している女性を支援するもの。

中尾さんは17才の娘がいるシングルマザー。乳がんでつらい治療を経験したことから、病気で苦しむ人の力になれる仕事に就こうと、介護福祉士の資格を取得し、さらに医療に携わりたいとの思いから、がん薬物療法看護認定看護師を目指し、家庭と両立しながら学んでいる。

日本中央リジョンのリジョナルプロジェクト「大学女子学生・専門学校女子学生支援金」では、SI和歌山が推薦した同専門学校2年の南出愛裕未さん(19)が選ばれた。

目的を持って専門技術や資格の取得に励む女子学生を援助する支援金。南出さんは、自宅で祖母が訪問看護を受けていたことを通じて訪問看護師に出会い、症状を速やかに判断し、限られた医療器具を使って苦痛を緩和する技術に感銘を受けた。患者が希望する場所で最期を迎えるにあたり、支援できるような看護師を目指している。

2人の表彰式は19日、和歌山市のダイワロイネットホテル和歌山で開かれたSI和歌山の例会で行われた。嶋田会長が2人に賞状や目録を手渡し、併せてSI和歌山のクラブ賞も授与。「うれしい。2人のキラキラした目から、輝く未来につなげていってくれることを感じる」と期待を寄せた。

中尾さんは「看護師の優しさで、乳がんの闘病生活を楽しく過ごすことができ、私もその世界に入りたいと思うようになった」と看護師を目指した動機を紹介。「見た目は元気で健康そうでも、性格的にそのように見せたい人や、内に抱えるものがある人がいて、心が元気でないこともある。そんな皆さんに寄り添える看護師になりたい」と決意を語った。

南出さんは「賞を頂き、自分の夢をたくさんの人に応援してもらっていることを実感した。自分らしく生きたいという思いを応援する訪問看護師になりたい」と話していた。

例会では、将来が期待される女性の大学院生を対象とする「大学院女子学生研究奨学金」の表彰式も行い、近畿大学大学院生物理工学研究科博士後期課程3年の中前有香子さん(26)に贈呈した。

同奨学金は、SI和歌山の認証50周年記念事業として2022年に創設し、今回が3回目。

中前さんは、尿路結石症の治療法の一つ、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)の結果予測を人工知能(AI)によって高精度に行うシステムの開発を研究テーマとしている。

ESWLは人体への侵襲が最も低い、重要な治療法だが、全ての尿路結石を除去できるわけではなく、施術後に数週間から数カ月の経過観察が必要。ESWLの失敗はその他の治療適用の遅れにつながり、リスクを増大させることから、治療効果を事前に予測するシステムは有意義となる。

表彰式では、中前さんが奨学金に感謝し、会員に研究の現状を発表した。

 

賞状を手にする中尾さん㊨、南出さん㊧と嶋田会長
賞状を手にする中尾さん㊨、南出さん㊧と嶋田会長