アカウミガメ産卵か 磯の浦で8年ぶり

海に帰っていくアカウミガメ(県サーフィン連盟提供)
海に帰っていくアカウミガメ(県サーフィン連盟提供)

和歌山市の磯の浦海水浴場で7月下旬、アカウミガメが上陸し産卵した痕跡が見つかった。同海水浴場でウミガメが産卵したとみられるのは8年ぶり。同所で大規模なビーチ清掃活動を35年続けている県サーフィン連盟会長で、同海水浴場の管理運営メンバーの梅本利樹さんは「環境の良いきれいな海を目指し活動してきた結果でうれしい」と喜び、地域住民らと卵を見守っている。

梅本会長によると、7月23日午前6時ごろ、サーフィン客の女性が、砂浜から海に向かう1匹のカメを発見。足跡をたどってみると、穴を掘って卵を埋めた形跡があり、アカウミガメが産卵したとみられている。

同海水浴場では県サーフィン連盟が年に2回、約3000人が参加する大規模なビーチ清掃を実施している。ウミガメは静かな闇ときれいな砂浜を求めて、産卵にやって来るといわれ、磯の浦では2016年に産卵、ふ化したのを最後に確認されていない。今回、産卵したとみられる場所は梅本会長らが網を設置してトンビなどの天敵や海水浴客から保護している。

このほど、全国各地でウミガメの調査や保護活動を行うNPO法人日本ウミガメ協議会の松宮賢佑事務局長が同海水浴場を訪れ、発見した時の様子を詳しく聞き、産卵した場所を調査した。

松宮事務局長は「穴を掘り、埋めた砂の形を見るとおそらく産卵している」と推測し、「これほど人が多く訪れる都市部の海岸で、しかも夜ではなく朝にウミガメが産卵するケースは珍しい」と話している。

松宮事務局長によると、砂の中に産み落とされた卵は、早ければ40日、遅くても80日ほどでふ化する。その際、表面から50㌢のほどの深さの温度が33度以上になる日が続くと成長が止まってしまうという。また、30度より高いと雌、低いと雄になるといわれている。西脇中学校の生徒たちが夏休みの自由研究として、毎日朝と夕方、砂の温度を測り、ふ化するまでを観察するという。

梅本会長は「ウミガメが産卵するきれいなビーチは和歌山市の誇り。みんなで大切にふ化を見守っていきたい。地元と行政、各団体がスクラムを組んで環境の良い海を次世代につないでいきたい」と話している。

産卵したとされる場所の前で笑顔の梅本会長
産卵したとされる場所の前で笑顔の梅本会長