100歳の長寿をお祝い 敬老の日を前に各市町で
16日の敬老の日を前に、県内の各市町では100歳を迎えるお年寄り宅などを訪ね、祝い品などを贈って長寿を祝福。健康で長生きするための秘訣(ひけつ)を尋ねられた高齢者は「何でもおいしく食べること」「くよくよ考え過ぎないこと」などと笑顔で話した。
暴れん坊将軍大好き 和歌山市の靏谷タケさん
和歌山市では2日、尾花正啓市長が市小路の有料老人ホームさくらに入居する靏谷タケさん(99)を訪ね、靏谷さんの家族や施設スタッフと共に長寿を祝った。
尾花市長は記念品のタオルセットと、岸田文雄首相からの祝い状と銀杯を手渡し「これからも元気で長生きしてください」と祝福した。
靏谷さんは1925年(大正14)2月26日生まれ。長男、次男、長女3人の子どもと孫4人、ひ孫6人、玄孫1人がいる。専業主婦として家事、育児、介護と忙しい日々を過ごし、95歳まで自宅で1人で暮らしていた。現在は同施設で週1回のリハビリに励んでいる。長女の山下千津子さん(73)によると、メロンソーダが大好きで毎日1本以上を飲み、ピザとフライドチキン、すしが好物で、楽しみはテレビで「暴れん坊将軍」を見ることだという。
靏谷さんは表彰状を手に「うれしい」と喜び、「長生きしようと思ったことは一度もない。食べるのが好きで何でもおいしく食べることが健康の秘訣かな」とにっこり。
同施設スタッフは「靏谷さんは人と話すのが好きでとても明るい。いっぱい食べて今のままずっと元気でいてほしい」と笑顔で話していた。
市高齢者・地域福祉課によると、本年度で満100歳になる人は8月20日時点で130人(男性16人、女性114人)となっている。
「考えないでのんびりと」 海南市の笠松光さん
海南市では2日、神出政巳市長が市内の笠松病院の現役医師、笠松光(てる)さん(99)宅を訪ねた。
笠松さんは1925年(大正14)2月24日、東貴志村(現紀の川市)生まれ。戦時下で、父親に「こんな時代だから女性も手に職を付けたほうがいい」と言われ、医師を目指して大阪の女子医専へ進学。軍医として戦地に行けるよう、半年早く病院に勤務することとなった。終戦後、47年の卒業試験の時には電力不足で30分ごとに停電になる中、勉強を続け、30分間本を読み、電気が切れたら読んだ内容を覚えるということをしていたという。
49年に結婚し、海南市へ。病院が救急患者を受け入れていた頃は、夜中に起こされて手術することもあったという。そのまま寝ずに「あぁ夜が明けた」と言いながら帰り、子どもたちの弁当を作って送り出す日々で大変だったと振り返る。医師歴75年以上、現在も週3回、内科医として患者を診察している。
「70の手習い」で、夫と一緒にピアノを始め、今も続けている。練習を重ねて「エリーゼのために」が弾けるようになり、発表会で演奏すると、笠松さんの懸命な姿を見た周囲の人たちがピアノを習い始めたという。
後日、笠松さんは地元の楽器店で、店員から「たくさんの人が『エリーゼのために』の楽譜を買い求めに来た」という話を聞いたといい、「私を見てピアノを始めた人がいると聞いてうれしかった」と笑顔。ピアノを習っていたという神出市長と音楽の話に花を咲かせた。
他にも、コロナ禍前までは友人と旅行するのが趣味だったこと、食事は減塩に気を付け、野菜から先に食べること、考えてもどうしようもないことは考えないことなど、長生きの秘訣を話した。「考えなくても今までなんとかなってきた。のんびりいきます」と笑顔。神出市長は「まだまだ元気で頑張ってほしい」と話した。