ゲストに町田啓太さん 和歌の浦誕生千三百年大祭
万葉の時代から多くの歌人たちの心を捉え、憧れの地であり続けてきた和歌山市の「和歌の浦」の歴史と文化を発信し、次世代へとつなぐイベント「和歌の聖地・和歌の浦 誕生千三百年記念大祭」が10月27日を中心に開かれる。聖武天皇をはじめ和歌の浦を愛した歴史上の人物らの姿を表現する時代絵巻行列などを行い、NHK大河ドラマ「光る君へ」で和歌の浦にゆかりが深い平安貴族の藤原公任(きんとう)を演じる俳優・町田啓太さんが特別ゲストとして参加する。
神亀元年(724)10月、即位間もない聖武天皇が和歌の浦に行幸してから1300年の節目を迎えるのに合わせて開催するイベント。
聖武天皇は玉津島の景観を愛し、「明光浦(あかのうら)」と名付け、この地を大切に保全するよう詔(みことのり)を発したと伝わり、同行した歌人・山部赤人は「若の浦に潮満ち来れば潟をなみ葦辺をさして鶴鳴き渡る」と詠んだ。以来、和歌の浦は多くの皇族や貴族、歌人らに詠まれる「和歌の聖地」として、平安から江戸時代、現代に至るまで親しまれ続けている。
大祭は、和歌の浦の文化・歴史を守る活動に携わってきた人たちや学識経験者らによる実行委員会が主催。市役所で10日、実行委と市が共同記者会見を開き、詳細を発表した。
10月5日から関連イベントが始まり、27日の本大祭は、和歌の神である衣通姫尊(そとおりひめのみこと)を祭る玉津島神社周辺を会場に行われる。
時代絵巻行列は、午前10時にあしべ橋付近を出発し、片男波公園・野外ステージまでの約1㌔を練り歩く。聖武天皇や菅原道真、藤原公任、徳川頼宣など各時代で和歌の浦に深く関わった人物が時代装束で登場する他、歴史と文化を未来へとつなぐ機会にしようと、地元の小学生らも参加する予定。
町田さんが演じ、行列に登場する公任には、京都から和歌の浦を訪ねた旅の様子や現地で詠んだ和歌を記した歌集「公任集」が存在し、和歌の浦に寄せる公任の強い思いが読み取れるという。
午後1時半からは、玉津島神社拝殿前の特設会場で、歌聖と仰がれた藤原俊成・定家父子を祖先とする和歌の宗家・冷泉家による「和歌披講」が行われる。伝統衣装を着用し、神に奉納する和歌を作る伝統行事を間近に見ることができる。
本大祭当日は、飲食などのマルシェ、記念コンサートやシンポジウム、記念短歌大会の表彰式なども行われる。
中山勝裕実行委員長は、歴史上のさまざまな人物が和歌の浦を守り、現在も地元の団体や市民が保全や魅力発信の活動を続け、今回の大祭を支えていることを紹介。「和歌山が誇る和歌の浦の素晴らしい歴史と文化を未来につなぎ、広く全国に伝えたい」と思いを話した。
尾花正啓市長は「1300年に及ぶ日本の文化・歴史が見られる行事は珍しい。全国各地から来ていただき、和歌の聖地・和歌の浦を舞台に繰り広げられる悠久の歴史時代絵巻を見て、感じて、体感してもらいたい」と呼びかけた。
大祭の詳細や関連イベントの情報などは公式ホームページ(https://www.waka1300.com)に掲載している。