木材加工で近畿V、全国へ 和工の本城さん

近畿大会で最優秀賞に輝いた本城さん
近畿大会で最優秀賞に輝いた本城さん

和歌山市西浜の県立和歌山工業高校建築科3年の本城花陽(かや)さん(17)が、第24回全国高校生ものづくりコンテスト近畿ブロック大会「木材加工部門」に出場し、県内高校生で初めて、1位にあたる最優秀賞を受賞した。11月9~10日、山形県で開かれる全国大会にただ一人、近畿代表として出場することが決まり、「出るからには1位を目指したい」と毎日、練習に励んでいる。

近畿大会は7日、大阪府立都島工業高校(大阪市)で行われた。和歌山工業からは本城さんと共に建築科3年の西岡和真さん(17)も出場し、6位で優良賞となり、ダブル入賞を果たした。

競技では、配布された木材を使い、仕様に従って加工から組み立てまで全て手作業で行い、3時間5分の制限時間内に伝統工法の技が詰まった課題作品を完成させる。

木材に「墨入れ」を施し印を付け、カンナ、ノミ、のこぎりで削り、くぎを使わず木材同士で組み込むための溝や、突起部分「ほぞ」を作る。「仮り組み」の状態で削ることは禁止されており、最後の「組み立て」工程では削り道具なしで、木材同士を組み、結合部に隙間のない仕上がりを目指す。

近畿大会には各府県予選(和歌山県はなし)を勝ち抜いた高校生15人が出場。時間内に完成に至らない生徒もいる中、本城さんと西岡さんは、圧倒的な速さで完成させた。態度や手順、加工精度、部分の納まり具合などが審査され、本城さんは精度の秀逸さが際立っており、高評価を受けた。

本城さんは昨年に続いて2度目の出場で、「出場者の中に昨年の優勝者がいたので気になっていたが、優勝できてうれしい。(全国大会の)山形に行くのが今でも信じられない」と笑顔で話した。

本城さんは、高校1年の時、国家試験の建築大工技能検定3級に向けて練習する中で木材加工の楽しさを知り、将来は宮大工を目指している。建築技術クラブに所属し、「男性と体力差があるので、負けない技術力を磨きたい」と、建築科教諭の坂東大介顧問の指導の下、資格取得に向け取り組み、ことし1月、西岡さんと共に同検定2級に合格した。高校生の2級取得はとても珍しく、県内で初めての快挙だった。

7月には海南市小野田の宇賀部神社から風鈴屋台の木組みの依頼を受け、制作にあたった本城さんと西岡さんらは、境内と見事に調和した木組みを完成させ、奉納した。

8月はほぼ毎日、近畿大会に向けて練習を重ねた。地元で長年大工として勤め、厚生労働省が認定する「ものづくりマイスター」の宇根保さん(83)の指導も受けながら、課題作品を20個以上も制作した。美しく細く引かれた墨入れの線の幅は1㍉もないが、線のどこを切るかで仕上がりが違ってくるという。本城さんは「毎日練習して、もっと感覚をつかめるようになりたい」と意気込む。

全国大会では、実物大の寸法で描く図面「原寸図」の作成も審査対象となる。本城さんは現在、10月に海南市で開かれる「クラフトマン」の出店ブースの木組みを制作しており、実践の中で技を磨きながら、練習に励んでいる。