紀伊風土記の丘の写真集寄贈 岩橋千塚を守る会

結城校長㊨に写真集を手渡す上岡さん㊧と西本代表
結城校長㊨に写真集を手渡す上岡さん㊧と西本代表

国の特別史跡「岩橋千塚古墳群」の保護に取り組む市民団体「岩橋千塚を守る会」(西本健代表)会員の上岡利春さん(89)は「紀伊風土記の丘とはこんなところ」と題した写真集を作り、地域の小学生に理解を深めてもらおうと、10日には、和佐、西和佐、小倉の各小学校に5冊ずつを寄贈した。

岩橋千塚古墳群には約900基が存在するとされている中、写真集では天王塚古墳や将軍塚古墳、大日山35号墳など代表的な15基を墳形や墳長、築造年代などと共に紹介している。

天王塚古墳の航空写真や5~6年に1回程度しか開放されない同古墳の石室内の写真など貴重なものもある。各古墳の石室内の写真も多く、石棚や石はりの有無などそれぞれの特徴を確認することもできる。

主に小中学生に地域の史跡について知ってもらうため、視覚的に分かりやすい写真集の作成に取り組み、ことし6月30日に完成した。上岡さんは約20年前に同市岩橋に移住して以来、岩橋千塚古墳群を整備した史跡公園である紀伊風土記の丘の古墳などを撮影しており、写真集は上岡さんが撮影したものを中心に、一部は紀伊風土記の丘資料館から提供を受けてA4サイズのフルカラー全96ページにまとめた。

上岡さんは「地元は、古代はこんな所だったと子どもたちに知ってもらいたい。地元を大切に育ってほしい」と話している。

和佐小学校には上岡さんと西本代表(66)、中北茂さん(70)ら会員4人が訪れ、結城将光校長(58)と児童会の6年生4人に手渡した。図書館に並べ、主に6年生社会科の歴史の授業で活用する。

結城校長は「地元の施設についてまとめられた貴重な資料を頂いてうれしく思う。6年生は毎年紀伊風土記の丘へ遠足に行くので、行く前に読んでほしい」と話していた。

3校の他、和歌山工業高校と紀伊風土記の丘資料館にも設置している。

同会は2012年8月、当時国内最大規模でありながら国特別史跡の範囲外となっていた天王塚古墳の指定などを目指して約20人で発足し、指定に向け署名活動などに取り組んできた。16年に指定されて以降は西和佐小学校で活動や古墳について講演するなど、古墳群を知ってもらうための活動にも励んでいる。現在、60人が所属している。

西本代表は「会員の上岡さんが自主的に作ってくれて大変うれしい。これを機に地域の小学校とのつながりも広げていきたい」と話していた。

写真集を手に和佐小の児童と上岡さん(左から5人目)、中北さん(同1人目)、西本代表(同4人目)、結城校長㊨
写真集を手に和佐小の児童と上岡さん(左から5人目)、中北さん(同1人目)、西本代表(同4人目)、結城校長㊨